NYダウ: 19123.58  △1.98 (11/30)
NASDAQ: 5323.68  ▼56.24 (11/30)

【米国株式市場】
<ニューヨーク市場>

1.概況
米国市場は高安まちまちとなりました。OPEC総会で8年ぶりの減産で合意したことで石油関連株に買いが入ったことや、次期政権での財務長官への起用が決まったムニューチン氏がテレビのインタビューでドッド・フランク法の一部撤廃を言明したことで金融規制緩和への期待が高まり金融株が買われたことなどから、取引開始後しばらくして100ドル高余りまで買われ25日に付けた史上最高値を上回ったダウ平均は、その後もしばらくは堅調な推移が続きました。しかし、利益確定の売りが出て午後に入って弱含む場面もみられるようになったダウ平均は引けにかけて急速に上げ幅を縮めると結局1ドル高の19,123ドルとほぼ横ばいで取引を終えています。一方でS&P500株価指数は5ポイント安の2,198ポイントと反落となったほか、アップル(AAPL)やマイクロソフト(MSFT)、アマゾン・ドット・コム(AMZN)、フェイスブック(FB)など時価総額の大きいIT関連株が軒並み売られたことでハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は56ポイント安の5,323ポイントと反落し1%を超える下げとなっています。

2.経済指標等
11月のADP全米雇用リポートで民間部門の雇用者数は前月比21万6000人増となり市場予想を上回りました。11月の米シカゴ購買部協会景気指数(PMI)も57.6と前月から改善し市場予想を上回っています。また、10月の米個人所得は前月比0.6%増となり市場予想を上回りました。一方で10月の米個人消費支出(PCE)は前月比0.3%増となったものの、市場予想は下回りました。変動の激しい食品とエネルギーを除いたPCEコアデフレータは前年同月比1.7%上昇し市場予想と一致しています。さらに10月の米中古住宅販売仮契約指数は前月比0.1%上昇し110.0となり市場予想と一致しています。米地区連銀経済報告(ベージュブック)で米連邦準備理事会(FRB)は大半の地区で景気拡大が続いたとの見解を示しています。

3.業種別動向
業種別S&P500株価指数は全11業種のうちエネルギーと金融、素材の3業種が上げ、エネルギーが5%近い上昇となったほか、金融と素材も1%を超える上昇となっています。一方で8業種が下げました。そのなかでも公益事業が3%以上下落したうえ、電気通信サービスも2%を上回る下げとなっています。

4.個別銘柄動向
ダウ平均構成銘柄では金融機関に対する規制が緩和されるとの思惑に加え、投資判断の引き上げもありゴールドマン・サックス(GS)が3%を超える上昇となり、ダウ平均構成銘柄で上昇率トップとなりました。また、OPEC総会での減産合意による原油価格の大幅高を受けてシェブロン(CVX)が2%高となったほか、エクソンモービル(XOM)も堅調となっています。ダウ平均構成銘柄以外ではエネルギー関連でマラソン・オイル(MRO)が20%高となったうえ、トランスオーシャン(RIG)やハリバートン(HAL)なども急伸しています。一方でカジュアル衣料品大手のアメリカン・イーグル・アウトフィッターズ(AEO)が決算と同時に発表した業績見通しが市場予想に届かなかったことから急落しています。武田薬品工業(4502)に胃薬部門のサリックス・ファーマシューティカルズを約100億ドルで売却する交渉が破談したと伝わったことでカナダの製薬大手バリアント・ファーマシューティカルズ・インターナショナル(VRX)も大幅安となっています。

5.為替・金利等
長期金利は0.09%高い2.38%となりました。ドル円はOPEC総会での減産合意を受けて円安が進み114円台前半で推移しています。

【VIEW POINT: 今日の視点】
114円台を付けている円安を受けて本日の日本市場は続伸でのスタートが予想されます。こうしたなか日経平均は節目の18,500円を超えてどこまで上値を伸ばせるかがポイントとなりそうですが、本日は1月4日の年初来高値(18,450円)を更新することになりそうです。

(マネックス証券 シニア・マーケットアナリスト 金山 敏之)