NYダウ: 19083.18  △59.31 (11/23)
NASDAQ: 5380.68  ▼5.67 (11/23)

【米国株式市場】
<ニューヨーク市場>

1.概況
22日の米国市場は次期トランプ政権の経済政策に対する根強い期待感から買いが続き主要3指数が揃って連日での史上最高値更新となりました。上昇して始まったダウ平均は昼にかけて伸び悩む場面もみられましたが、午後に再び上げ幅を広げると引け間際には90ドル高近くまで買われました。結局ダウ平均は67ドル高の19,023ドルとなり初めて19,000ドル台に乗せて取引を終えています。また、S&P500株価指数も4ポイント高の2,202ポイントとなり、こちらも初めて節目の2,200ポイントを上回りました。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は17ポイント高の5,386ポイントとなっています。 昨日の米国市場は米耐久財受注など良好な経済指標を好感した買いが入る一方で、高値更新の後で利益確定の売りが出やすく売り買い交錯となるなか小幅に高安まちまちとなりました。ダウ平均とS&P500株価指数は3日続伸となりましたが、ナスダック総合株価指数は3日ぶりの反落となりました。朝方は小幅にマイナスとなる場面もみられたダウ平均ですが、しばらくして買いが優勢になるとその後は堅調な展開が続きました。結局ダウ平均は59ドル高の19,083ドルとほぼ高値引けとなり、3日連続で史上最高値を更新して取引を終えています。また、S&P500株価指数も1ポイント高の2,204ポイントとなりこちらも史上最高値を連日で更新しています。一方でナスダック総合株価指数は5ポイント安の5,380ポイントと反落となっています。

2.経済指標等
22日に発表された10月の米中古住宅販売件数は年率換算で前月比2.0%増の560万戸と2007年2月以来の高水準となり市場予想を上回りました。 昨日発表の11月のミシガン大学米消費者態度指数確報値は93.8と前月から上昇し市場予想を上回りました。また、10月の米耐久財受注も前月比4.8%増となり市場予想を上回りました。民間設備投資の先行指標とされる非国防資本財から航空機を除いたコア資本財の受注は0.4%増となり市場予想と一致しています。一方で10月の米新築住宅販売件数は年率換算で前月比1.9%減の56万3000戸となり市場予想を下回りました。11月開催分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨では利上げの根拠が引き続き強まったとの見方で総じて一致し、大半の参加者が比較的早期の金利引き上げが妥当との見方を示していたことが分かり、12月の利上げを示唆する内容でした。

3.業種別動向
22日の米国市場で業種別S&P500株価指数は全11業種のうち9業種が上げました。そのなかでも電気通信サービスが2%高となったほか、不動産と一般消費財・サービスが1%を超える上昇となっています。一方でヘルスケアとエネルギーが下げ、ヘルスケアは1%以上下げました。 昨日の米国市場で業種別S&P500株価指数は全11業種のうち資本財・サービスや電気通信サービス、金融などの7業種が上げました。一方で公益事業や不動産などの4業種が下げ、公益事業は1%近く下落しています。

4.個別銘柄動向
22日の米国市場では、決算で売上高が市場予想を上回った1ドルショップのダラー・ツリー(DLTR)が急伸したほか、同業の買収を発表した飲料大手のドクター・ペッパー・スナップル・グループ(DPS)も買われています。決算で売上高や1株利益が市場予想を上回った食品大手のキャンベル・スープ(CPB)も大幅高となっています。一方で業績の見通しを引き下げた医療機器のメドトロニック(MDT)が急落しています。 昨日の米国市場では決算が減収減益となったものの、市場予想ほど落ちこまなかった農機・建機の米ディア(DE)が急伸しました。キャタピラー(CAT)にも買いが波及し3%近く上昇してダウ平均構成銘柄で上昇率トップとなっています。一方、決算で1株利益が市場予想を下回ったヒューレット・パッカード(HPQ)が大幅安となったほか、開発中の初期のアルツハイマー型認知症向けの治療薬で有効な結果が出なかったと発表した製薬大手のイーライ・リリー(LLY)が急落しています。

5.為替・金利等
22日の長期金利は前日と変わらずの2.31%となりました。昨日の長期金利は良好な米耐久財受注を受けて0.04%高い2.35%となりました。ドル円は長期金利の上昇を受けて円安が進み112円台前半で推移しています。

【VIEW POINT: 今日の視点】
米国市場でダウ平均やS&P500株価指数が続伸し史上最高値を連日で更新していることや、一段と円安が進んでいることから本日の日本市場は続伸でのスタートが予想されます。こうしたなか日経平均は上値を試す展開となりそうで、年初来高値(1月4日の18,450円)更新となるのか、それとも年初来高値を前に上値を押さえられるかがポイントとなりそうです。

(マネックス証券 シニア・マーケットアナリスト 金山 敏之)