2009年の中国経済回復と自動車産業促進策実施によって、中国は世界最大の自動車生産・消費国となっています。中国自動車工業協会は2009年中国自動車産業の生産販売データを発表しました。生産台数は前年比48.3%増の1,379.1万台、販売台数は46.2%増の1364.5万台です。そのうち、乗用車の生産台数と販売台数はそれぞれ54.1%増の1,038.4万台と52.9%増の1,033.1万台であり、商用車の生産台数と販売台数はそれぞれ33%増の340.7万台と28.4%増の331.4万台です。乗用車のうち、優遇政策の恩恵を受けた排気量が1,600CC以下の小型車は販売台数が71.3%増の720万台もあり、乗用車販売の70%を占めています。販売台数の上位10社は上海汽車(270.6万台)、第一汽車(194.5万台)、東風集団(0489)(189.8万台)、長安汽車(200625)(187万台)、北汽集団(124.3万台)、広州汽車(60.7万台)、奇瑞汽車(50万台)、BYD(1211)(44.8万台)、華晨汽車(1114)(34.8万台)、吉利汽車(0175)(32.9万台)でした。

2010年の自動車市場の見通しですが、中国自動車工業協会の副会長である董揚氏によると、2010年には中国自動車の輸出状況と優遇政策がどうなるかは、まだ不確定であるものの、自動車の生産・販売台数は10%前後成長するのではないかと予測しています。しかし仮に優遇政策がどこかで途切れたとしても、短期的な反動はあるかもしれませんが、本質的には一人あたりGDPの増加による消費の向上が長期的に中国の自動車マーケットを押し上げると思われます。 日本の自動車メーカーも、そしてアメリカもそうでしたが、戦前は何十ものメーカーがありました。現在では上位ビッグ3でかなりのシェアを占めている市場になっています。中国においても、150以上のメーカーがひしめきあっていた状況で2005年頃はトップへの集約がなく、各社ともシェアは接近していました。現在も決して完全に集約されてきたわけではないですが、2009年に米国を抜いて、世界トップ市場となったあたりで、有望企業は上位5社、あるいは10社に絞り込まれて来たのではないかと思います。昨年では上位5社でシェア70.8%を占め、上位10社で87.2%となり、かなり絞り込まれてきました。前述のように中国の一人当たりGDPが拡大していく中で自動車の販売台数はまだまだ伸びると思います。全体のパイが大きくなっていく最中で投資をしていくことを考えると、自動車銘柄への投資を考える場合にはやはり、現時点である程度シェアが大きな企業の方がよいのではないかと考えます。