「今週の相場展望」を、僕のブログDance With Marketでは毎週日曜日、メールマガジン新潮流では月曜日にお届けしている。月曜日の昼にはオンラインセミナーで当面の相場見通しにも触れている。週初は情報発信の機会が多いが、今週は敬老の日で月曜日が休みだったために、メルマガもオンラインセミナーもなかった。なので、ストラテジーレポートで「今週の相場展望」を書いておく。

結論から言って、今週はたいして動かないだろう。大山鳴動して鼠一匹というような結果になるのではないか。日銀は現状維持、FOMCは利上げ見送りだと思うからだ。

日銀会合の結果が出るまでは相場は動けない。よって、火曜日と水曜日の午前は動かない。事実、3連休明けの本日午前10時現在、日経平均は朝方の下げを取戻しプラスに転じた。上にも下にも行けない雰囲気である。

日銀の金融政策決定会合だが、「総括的な検証」がなされるだけで、追加緩和は今回は見送られるだろう。FOMCも利上げ見送りが濃厚で、こちらも予想通りだから市場の反応は限られるだろう。休場明けの金曜日の東京市場は、FOMCの決定からさらに1日NY市場の取引結果を挟んでの動きになるので、日銀-FOMCという材料への反応は相当程度、「賞味期限切れ」になるだろう。

日銀の金融緩和の経緯を振り返ると、異次元緩和のスタートが13年4月、黒田バズーカ2が14年10月末。マイナス金利の導入が16年1月で、ETF買い入れ倍増を決めたのが前回7月。つまり展望レポートの発表が1月、4月、7月、11月であり、黒田日銀はそのタイミングに合わせて政策変更を実施している。(以前であれば4月10月は展望レポートを発表、その3カ月後の7月1月に中間評価を行っていたが、現在は四半期ごとに発表することに変わっている)

日銀の金融政策決定会合に先立って、様々な報道機関から様々な「観測記事」が乱れ打ちの状況だが、これほどコンセンサスができていないのも珍しい。当局もリークしようにもできないし、メディアも信頼に足る情報を得られていないということだろう。すなわち、日銀内部でもすり合わせができておらず、その観点からも今回は準備不足で追加緩和が見送りになる公算が高いと思われる。

総括的検証に体力を使って、実際の政策変更まで踏み込む時間がないと思われることに加え、市場や金融機関とのコミュニケーションに時間を使う配慮を示す狙いもあろう。

問題はいまもまだ追加緩和を予想する向きが意外に多いということだ。テレビ東京のニュースモーニングサテライトが実施しているモーサテサーベイでは9月の追加緩和を予想するひとは回答者の47%。ブルームバーグがエコノミスト43人を対象に実施した調査では、9月追加緩和を行うとの予想が23人(54%)と過半に達している。

こういう状況で緩和がなければ失望の円買い・株売りとなるだろうか。無論、若干の失望リアクションがあるかもしれないが、大きな動きにはならないだろう。その夜にFOMCを控え、かつ翌日が秋分の日の祝日でマーケットが休場だからだ。日銀の結果だけでポジションをとるのは、その後のアクションが限られるということも併せてリスクが高い。

嫌なシナリオとして想定しておきたいのは、そうした状況の裏をつかれるというものだ。つまり、日銀会合の直後にFOMCが控えているというスケジュールや、祝日の休場を挟むことなどで、「動けなくなる投資家が多い」という状況を逆手にとっての仕掛け的な円買い・株売りなどである。念のため、注意しておきたい。

追加緩和が見送られた場合のポジティブな面もある。一部に予想されていたマイナス金利の深堀りがなかったということで銀行株が買われて市場のムードが良くなるかもしれない。

いずれにせよ、日米金融政策の会合結果をいまは待つしかない。今週はシルバーウィーク、「休むも相場」である。

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チーフ・ストラテジスト広木 隆の<今週の相場展望>とコラム「新潮流」とチーフ・アナリスト大槻 奈那が金融市場でのさまざまな出来事を女性目線で発信する「アナリスト夜話」などを毎週原則月曜日に配信します。メールマガジンのご登録はこちらから