このブログで、フィボナッチ・リトレースメントについて書いた。Bloombergはデフォルトで過去1年のチャートが表示されるので、日経平均の昨年12月高値の2万円から、今年の安値1万5000円割れまでの約5千円幅の下げに対する戻り率を示した。

もうすこし期間を長くとって、昨年の高値(2万0952円)、すなわちアベノミクス相場開始以来の高値からの下げ幅でみると、約6千円に対する戻りということになる。昨年高値を付けた日は6月24日。今年の安値、1万4864円を付けた日は「BREXIT」の6月24日。高値⇒安値がちょうど丸一年である。きりがいいので、6月24日の安値で大底確認としたいものだが、それには何が必要か。

まず目先は、届きそうで届かない1万7000円台の奪回。もうしばらくすると右肩下がりの200日移動平均が1万7000円近辺に垂れてくる。そのタイミングで1万7000円台に乗せれば200日移動平均抜けも同時に達成できる。

次のターゲットは昨年高値からの下げ幅、約6千円に対する38.2%戻しの水準である1万7189円をクリアすることだ。そこまでくれば、4月高値の1万7613円が視野に入る。そのネックラインを抜ければW(ダブル)ボトムの完成だ。底入れ完了として買いの勢いにも弾みがつくだろう。

昨年高値から、すなわちアベノミクス相場開始以来の高値からの下げ幅に対する半値戻しが1万7908円。半値戻しを達成するその水準を今年の年末のターゲットとしたい。

現在、日経平均の予想EPSは1200円。現在はPER14倍程度(1200×14=1万6800円)だが、年末にはPERの過去平均である15倍程度に戻ると思われる。

もう夏も終わりだが、年内残り4カ月の間に、日米の金融政策、米国大統領選など大きなイベントを巡る不透明要因が - 結果はともかく - 取り除かれるのは間違いない。相場にとっては、「わからないこと」がリスクだから、「わかってしまえば」リスクはなくなる。リスク要因の後退でPERが平均に回帰するというシナリオである。

問題は上述したそれぞれの節目を抜けるカタリスト。やはり日米の金融政策、米国大統領選といったイベントがマーケット・フレンドリーな結果に転がることだろう。米国は年内(おそらく12月)に利上げをし、日銀は9月の総括検証で穏当な追加緩和を打ち出し、そしてヒラリーが勝つ。

この条件がそろったならば、PER15倍で日経平均1万8000円というのは、バリュエーション的に妥当で無理のない水準だと考える。

ちなみに日経平均の週足の一目均衡表を見ると、雲の上限は1万7909円。雲の上限、すなわち先行スパン2は、(過去52週間の高値+過去52週間の安値)÷2だから、上述の通り高値⇒安値がちょうど丸一年であれば、過去52週がちょうど過去一年に当たるため、先行スパン2が半値戻りの水準に一致する。日経平均1万8000円は、半値戻しと一目均衡表の雲の上抜けを同時に達成する水準だ。

個人的に気に入っているのは「石庭のリズム」。5-2-3-2-3に従って、5千円の下げに対して、戻りが2千円、3千円、2千円と続いたあと、最後の戻りが3千円となる - というシナリオが美しいと思う。(詳しくはこちらをご参照ください)

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