これまで本欄では、9月6日更新分と13日更新分の2週連続でドル/円について中長期的に強気の見立てを示してきました。思えば、約2週前(4日の週)のドル/円の安値は107.32円でした。それが今週(18日の週)には一時111.88円までと、2週間で約4.5円ものリバウンドが生じたわけです。それだけの底力は十分にあるということでしょう。

なお、9月6日更新分では、ドル/円の週足チャート上で62週移動平均線(62週線)と一目均衡表の週足「雲」下限が下値支持役として"共演"する格好になっている点や、週足「雲」の位置するところが2016年6月安値から同年12月高値までの上昇に対する半値押しの水準と一致する点などに着目しました。つまり、週足「雲」下限あたりの水準は相当に強いサポートになり得るとの見立てでした。

結局、その週の週足ロウソクは(下図でも確認できる通り)「長めの陰線」となり、週足・終値で62週線と週足「雲」下限を下回ることとなってしまいました。とはいえ、それは「北朝鮮による6度目の地下核実験が行われた後に訪れる北朝鮮建国記念日を控えた日程」という極めて特殊な事情が絡んでいたが故であり、そこで灯った弱気シグナルについては相当に割り引いて考える必要があるものと思われます。

実際、その翌週に当たる先週(9月11~15日)のドル/円の週足ロウソクは長い陽線となり、週足「雲」下限と62週線を次々に上抜け、一時は週足「雲」上限と31週移動平均線(31週線)が位置するところまで戻りを試す展開となりました。

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そして執筆時は、まさに先週のドル/円の上値抵抗となっていた週足「雲」上限と31週線をすんなり上抜けるかどうかの正念場にあります。仮に週足・終値で上抜ける展開となれば、実は週足の「遅行線」も26週目の週足ロウソクが位置していた水準を上抜ける格好となります。それも一つの強気シグナルと見做されるものです。

また、同時にドル/円の日足ロウソクも、今まさに日足「雲」上限のクリア・ブレイクにトライしている状況にあります。よって、来週にかけて週足と日足の双方がともに「雲」上抜け=「晴れ」の状態となれば、そこからドル/円にはもう一段の上値余地が見込めるようになるものと思われます。

その意味からしても、日本時間の明日(21日)未明に明らかとなる米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果と参加メンバーらによる経済・物価・金利見通し、米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長による記者会見での発言などは、其々に極めて重要なカギを握っているものと見ておく必要があるでしょう。

FOMCの日程を控えた市場において、いたずらに予断を持って臨むことは何より避けられたいところですが、今のところ市場では「今回のFOMCの結果がドル高に作用する」と踏んでいる向きが多いようにも感じられます。その要因として大きいものの一つは、先週14日に発表された8月の米消費者物価指数が前年比+1.9%(初期品・エネルギーを除くコアは+1.7%)と事前に市場予想を上回る強い結果であったことです。

市場の一部には、今年の米年末商戦についてかなり強気の見方をする向きがあり、実際に小売店の一部が年末に備えて大幅な臨時の雇用を計画しているとの報もあります。場合によっては、今年もドル/円は年末高となる可能性が大いにあると個人的には見ています。

コラム執筆:田嶋 智太郎
経済アナリスト・株式会社アルフィナンツ 代表取締役