前回更新分で想定したとおり、目下のドル/円は一時調整の局面に突入しており、昨年11月以降にスタートしたトランプ相場は、ここで一旦"壁"にぶつかるような状況となっています。下図にも見られるように、今週16日から17日にかけてドル/円には一目均衡表の日足の「遅行線」が日々線を下抜ける『逆転』の現象が生じており、結果的に「暫くの間は調整含みの展開を続ける可能性が高い」との見方も強まっています。
思えば、ドル/円は今年の年初に一旦118.61円の高値をつけて以来、これまでずっと下値を切り下げる展開を続けており、図中にも示したように「1月3日高値とそれ以降の高値を結ぶレジスタンスラインと、それに平行して1月5日安値を通るアウトライン(サポートライン)とで形成される下降チャネル」のなかでの値動きに終始しています。
よって、足下の調整が一巡して強気トレンドに転換したとの感触を得るためには、一つにこの下降チャネルの上辺をクリアに上抜ける(下降チャネルを上放れる)ことが必要になってくるものと思われます。さらに、上方に控える21日移動平均線(21日線)をも上抜けるような展開となれば、強気のムードは再び盛り上がることとなるでしょう。
また、目先的にドル/円が急激な反発・上昇でもしない限り、このままでは一目均衡表の日足「雲」のなかに潜り込む可能性が高いという点にも要注目です。見てのとおり、この「雲」は非常に分厚いもので、それだけ過去の相場のシコリが溜まっているゾーンであると見ることもできます。よって、この「雲」のなかにひとたび潜り込めば、相応に上値の重い展開が暫く続く可能性もあると見ておく必要はあるでしょう。
ここで、当面のドル/円の下値の目安となり得る水準を幾つか想定しておきますと、それは一つに125.50-60円処ということになるものと見られます。本日(18日)のオセアニア時間帯には一時112.56円まで下押す場面があり、その後一旦113円近辺までの戻りを見た後に再度112.64円まで押し下げるといった場面もありました。
この112円台半ばという水準を下抜けてきた場合、次に注目しておきたいのは、ドル/円の週足チャート上に一目均衡表を描画すると確認できる週足「雲」上限の水準です。今週と来週は週足「雲」上限が112.12円処に位置しており、同水準が一つの下値サポートとして機能する可能性も大いにあり得るものと考えられます。
もう少し目線を下げるなら、次に昨年11月9日安値から12月15日高値までの上昇に対する38.2%押しの水準=112円処、あるいは昨年11月28日安値=111.36円などといった水準も、一応は下値の目安になり得るものとして念頭に置いておきたいと考えます。
なお、仮に昨年11月9日安値から12月15日高値までの上昇を「第3波」(5波構成の展開を想定し、その起点を昨年8月16日安値と考える)とした場合、現在の調整は「第4波」で、いずれ「第5波」の反発・上昇局面が訪れると考えることもできるのではないかと思われます。つまり、現在足下で続いている調整が一巡した後には、あらためて120円前後の水準を試す可能性も大いにあるのではないかということです。よって、当面のドル/円の調整局面にあっては、基本的に押し目買いの方針で相場に向き合いたいと個人的には考えています。
コラム執筆:田嶋 智太郎
経済アナリスト・株式会社アルフィナンツ 代表取締役