サンプラザ中野だー!

日朝国交正常化交渉が始まる。サインをした小泉首相が拙速だったのかどうか、判断は歴史にゆだねる。しかし、拉致問題に関する歴代の政府・外務省の対応が遅かったことだけは確かになった、ね。

今回の北朝鮮の急激な態度の軟化を見るにつけ、「歴史を動かすのは経済である」とますます強く思うしだいである。

冷戦下に生まれ、二つのイデオロギーの対立構造の中で育った俺(ちょっと大げさ)は、政治が世界を動かしていると思ってきた。だから大学に入るときも政治学科を選んだ。何の迷いも無かった。

4−5年前だろうか、テレビを見ていてハッとした。それはNHK教育チャンネルであった。ザッピングの途中立ち寄った。偉い先生が講義をしていた。アメリカの南北戦争についてだった。

テーマは、「黒人奴隷の解放」であった。なぜ北部の方が南部よりも早く黒人奴隷の解放をしたのか?
俺は思った。北の方が人権意識が高かったからだ、と。
しかし偉い先生のお答えは違った。

答えはこうだ。
当時、北は工業化が進んでいた。南は農業、特に綿花を栽培していた。どちらも安い働き手が必要であった。しかし北部は最も安い働き手「奴隷」を解放してしまう。それは需給関係にあった。労働力の需給関係ではない。商品の需給関係なのである。

工業化が進み大量に商品が出回る。大量に出回った商品を消費するためには、大量の消費が必要だ。大量の消費とはつまり「大量の消費者」なのだ。奴隷は働き手であり、消費者ではなかった。

北部では消費者を必要としたために奴隷解放が進んだ。南部では安い労働力のために開放が遅れた、というわけだ。

答えは「人権意識」ではなかったのだ。俺は眼から鱗が落ちたよ。それ以来俺は経済に興味を強く持ったのだ。(もちろん人権意識も重要なファクターであったに違いない)。

拉致被害者と家族の皆さんが、心安らかであるよう祈ります。

サンプラザ中野:数々の爆発的ヒット曲を生み出てきた「爆風スランプ」で活躍。現在はパッパラー河合と共に「スーパースランプ」として活動中。
自身のホームページでも意外な側面を見ることができる。
http://www.kk.iij4u.or.jp/~sunplaza/