米連邦公開市場委員会(FOMC)や日銀金融政策決定会合、第2四半期の米GDP(速報値)発表など複数の重要イベントを次々に通過した先週、ドル/円は週を通じて大きく値を切り下げ、弱気ムードを引きずったまま7月の幕を閉じることとなりました。果たして、この7月のドル/円の月足ロウソクはどのようなことを物語るのでしょう。

下図に見るように、7月の月足は長めの上ヒゲを伴う陰線と弱めの形状を為すこととなりましたが、初旬につけた月中安値=99.98円は62カ月移動平均線(62カ月線)にサポートされる格好となりました。思えば、6月の英EU離脱(ブレグジット)・ショック後につけた安値=99円も62カ月線が下支え役として立派に機能しています。

本欄の4月13日更新分でも指摘したとおり、もともと今年4月に31カ月移動平均線(31カ月線)を明確に下抜けた時点で、当面は一定の下値を試す弱気の展開も覚悟せねばならないと考えられていました。そして、実際にドル/円は110円、105円といった心理的節目を段階的に下抜け、ついに62カ月線が位置する水準まで押し下げ、そこでようやくサポートされることとなったのです。当然、今後もこの62カ月線が下値のサポート役として機能し続けるかどうかが、とくに注目しておきたいテクニカル上のポイントの一つと考えておく必要があるでしょう。

加えて、もう一つ注目しておきたいのが図中にも描画されている一目均衡表の月足の「遅行線」と月足ロウソクが位置しているところとの関係です。おさらいしておきますと、この「遅行線」というのは、月足で言えば「当月の終値を、当月を含む26カ月前(過去)の位置に記入する」もので、たとえば「7月の終値を、7月を含む26カ月前(過去)の位置に記入する」こととなります。結局、7月の終値水準を示す月足の「遅行線」は、7月を含む26カ月前にあたる2014年6月に月足ロウソクが位置していた水準を下抜ける寸前で下げ止まりました。

実のところ、この月足の「遅行線」は過去においても極めて重要な局面で相場の中長期的な先行きを示す役割を担ってきていることがわかっています。たとえば、それは2007年6月にドル/円が124円台まで上昇して反落となった場面や、2012年の11月から12月にかけてドル/円が31カ月線を明確に上抜け、上昇基調への転換をより確実なものとした場面などです。

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このように、62カ月線や月足の「遅行線」は非常に重要な節目となるだけに、それらが仮にドル/円の下値を支え切れなくなった場合には、先行きに対する警戒を少々強める必要に迫られるものと思われます。ただ、現在のドル/円には62カ月線の下方に重要な節目である月足「雲」の存在も控えており、かなりドルが弱含みの展開となった場合でも相当に強いサポート役としての期待が持てるものと思われます。さらに、この月足「雲」上限が9月、10月以降にその水準をグンと切り上げて行く点も大いに注目されるところです。

足下のドル円は、昨年6月高値からの調整の最終局面を迎えているものと思われます。これから9月下旬あたりまでにかけてもう一段深押しする可能性も封印はできませんが、長い目で現在水準は"大底圏"にあるものと考えられ、この8月、9月は押し目を買い拾う好適なタイミングをじっくりと計る時間帯ということになるものと個人的には考えます。

コラム執筆:田嶋 智太郎
経済アナリスト・株式会社アルフィナンツ 代表取締役