周知のとおり、目下の市場は英国の欧州連合(EU)離脱問題への懸念の強まりから、総じてリスク回避ムードの色濃い展開に終始する格好となっています。結果、基本的にドル買いと円買いがともに強まる状況となっており、昨日(14日)はドル/円が一時105.63円まで下落し、一方でユーロ/ドルが一時1.1189ドルまで下落する場面がありました。

英国民投票の行方は"神のみぞ知る"といったところですが、仮にEUからの「離脱」という結果になった場合には、一時的にもドル買い・円買い圧力が一段と強まる可能性が高いと見られ、そうなった場合のドル/円とユーロ/ドルの相場の目安というものも一応は想定しておかざるを得ないものと思われます。

ドル/円については、市場関係者の多くが「まずは5月安値の105円台半ばが意識されやすく、同水準を下抜けた場合には100円あたりまで一時的にも円高が進む可能性がある」といった見方でほぼ一致している模様であり、とにもかくにも目先は105円台半ばの水準を下抜けるかどうかに注目しておきたいものと思われます。

一方のユーロ/ドルは、前回更新分の本欄でも述べたように、5月の米雇用統計の結果を受けて一旦は大きく上昇し、先週9日に一時1.1416ドルまで上値を伸ばしたところで反落となった後、一気に1.1200ドル割れの水準まで下げが加速する格好となりました。

下図でも確認できる通り、6月9日高値=1.1416ドルは一目均衡表の日足「雲」上限に上値を押さえられたのと同時に、5月3日高値から5月30日安値までの下げに対する61.8%戻し=1.1417ドルという節目にも押し戻されるような格好となりました。加えて、日足の「遅行線」が日々線を上抜けるかどうかというところで、結局は上値を押さえられて下降に転じたという点も見逃せません。

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ことほど左様に、ユーロ/ドルの相場展開というのは、多くの場面においてテクニカル分析のセオリーにかなり忠実であるということができます。そして今、ユーロ/ドルは再び日足「雲」下限を下抜けて、昨年12月3日安値と今年3月10日安値を結ぶサポートラインに接近してきました。セオリーでは、この状況をどう見たら良いのでしょうか。

まず、このサポートラインは5月30日に直近安値=1.1097ドルをつけた場面でも下値支持としての機能を立派に果たすこととなりました。よって、普通に考えれば今後も一つの下値支持として意識されやすい極めて重要な節目であることは確かです。ただ、英EU離脱という一大事にでもなれば、そんな節目を下抜けてしまう可能性も十分にあります。

実のところ、このサポートラインは昨年12月初旬から形成されている「中期上昇チャネル」の下辺と見ることもでき、仮にこのチャネル下辺を下抜ける(=上昇チャネルを下放れる)展開になれば、ユーロ/ドルのチャートフェイスには大きな変化が生じることとなります。セオリーに基づいて言うならば、上昇チャネルの下放れは、後にかなりまとまった下げが演じられる可能性を示唆するものと考えられるのです。

もちろん、英EU残留の可能性もまだ十分にあるわけですが、その行方が定かでない以上は複数のシナリオを元として様々な想定と心積もりをしておくことも必要でしょう。

コラム執筆:田嶋 智太郎
経済アナリスト・株式会社アルフィナンツ 代表取締役