週初19日の日経平均は428円高と、予想以上に上昇する展開となりました。先週末のダウ平均は伸び悩み、安値からの急反発もいったん一巡したとみる市場参加者は多かったと思います。ドル/円も先週付けた1ドル=105.55円からの円安方向への戻りが鈍く、企業業績への不透明感が再び台頭してきた状況でもありました。なぜ、こんなに買われるの?といった相場付きでした。ところが、20日は連休明けの米国市場を警戒して、224円安。なぜ、前日にあんなに買ったのでしょうか。

でも、少しは理解できます。筆者が着目したのは、米国市場のダウ平均と日経平均の単純な価格差(ダウ平均-日経平均)です。その価格差をみると、先週末の16日現在で3,499ポイントでした。2016年以降、両者の価格差の平均は1,300ポイント程度。週末時点で3,000ポイント以上に価格差が広がったのは、イギリスが国民投票によって欧州連合から脱退が決まった直後の2016年7月8日時点の3,039ポイントで、これまでの最大でした。当時は翌週にダウ平均は370ドル程度上昇したのに対して、日経平均は1,390円上昇し、早々に価格差が縮小しました。その次に価格差が大きかったのは、今年の1月26日時点の2,984ポイントでした。翌週の日米株価はともに下落しましたが、ダウ平均が1,095ドル下落したのに対して、日経平均は357円の下落にとどまり、直ちに価格差が縮小しました。つまり、来週ぐらいにかけてはダウ平均が相対的に大きく下げるか、日経平均が相対的に大きく上げるか、どちらかの現象が起きても不思議ではありません。

ポイントになりそうなのが、米国市場です。株ではなく、米長期金利(米10年債利回り)の動向です。米10年債利回りは2012年6月の水準(1.45%)から2013年末の3%まで、約1.55%上昇しました。その後、2016年7月に1.35%まで低下し、一時は2012年の水準を下回る場面がありました。現在は、2016年7月から上昇局面が続いています。そこで、「過去分と同じく1.55%上昇する」と仮定すると、2.9%(1.35%+1.55%)程度で落ち着くことが予想でき、今の水準が納得できます。
しかし、なかなか低下しません。そうでなければ、さらに上昇を見込むべきでしょうか。なにせ、トレンドは上昇基調を維持しているので、トレンドに逆らうことがいちばんリスクのある行動だからです。いずれ3.0%を超えていく可能性は高いとは思っていますが、早々にも実現しそうな雰囲気になってきました。そうなると、1つの予想としてあり得るのは、アメリカ株の金利上昇による目先の調整、ドル高・円安ではないでしょうか。
ドル/円は昨年11月にあった114.73円の高値から、三段下げをいったん達成したようにもみえます。そして、直近安値1ドル=105.55円の水準は、2016年にトランプ氏が米大統領に決まる前後の重要な水準とみられます。振り返ると、11月9日の午前中の高値が105.47円で、そのあとトランプ氏の躍進が伝えられる中、101.20円まで急速に円高が進行しましたが、NY時間を経過していったん落ち着いた水準が、ざっくり105円~106円です。つまり、その中値となる105.50円付近というのは、時々、チャートをマニアックにみる筆者の目には非常に重要で、いったん止まるべき水準にみえるわけです。
日経平均が週明けから飛ばす勢いがあったのは、アメリカ株は金利上昇で弱くなっても、ドル高・円安が好材料になる日本株が短期的に優位になることを織り込んでいるのかもしれません。日米株価が上げるときは日経平均がより上昇し、下げるときは日経平均の下落幅の方が小さくなる。ダウ平均が下げても日経平均は上昇する、も同じです。ダウ平均と日経平均の価格差が縮小するまでは、そんな雰囲気ではないかと思います。

東野幸利
株式会社DZHフィナンシャルリサーチ

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