昨晩のうちにダウ平均が14,000ドル台乗せ、そして今日の日経平均は11,400円前後まで上昇、といったシナリオを描いていましたが、全くの見当違いでした。昨日の後場からの上昇ムードに騙されてしまったようです。

さて、決算発表シーズンに入っています。下方修正したファナック(6954)やコマツ(6301)などの株価の織り込むスピードが早いのは好地合いの中での話。コマツは中国の建設機械がだめで、新興国向け鉱山機械でカバーする構図が続いていましたが、鉱山機械の減速で再び中国底入れに期待だとか...、そんなに上手くいくものでしょうか?

地合いが悪いときだったら、結構な幅で下げているような気がします。

一方、今日の日経新聞で目に付いたのはキヤノン(7751)の記事。円安効果を見込み、今期は2期ぶりの増益になるそう。ただ、円安メリットを享受しながらも、シェア拡大に向けて値下げや販売促進費用の増額で早めに布石を打つところなどは、さすがといった印象を受けました。ただ、それを受けて株価は買い先行でスタートしましたが、前引けを待たずしてマイナス。株価の位置も悪くないのに...、大引けも戻りませんでした。円高への反転を予見した動きなのでしょうか? 

今期業績を上方修正したカルビー(2229)は、昨年11月高値を上回りました。決算発表を終えたところでは、スタンレー電気(6923)が昨年3月高値を上回ってきております。目先の過熱感はありますが、チャート面でもマークの銘柄だと思います。

決算発表をきっかけに動く銘柄はたくさんありますが、それによって過去の主要な株価の節目を上回ることができたかが重要なポイントです。例えば、日経平均ベースでいうところの、昨年3月高値、2011年2月高値、2010年4月高値など。ただし、銘柄によって高値の時期は違います。それが達成できたならば、その銘柄は業績を材料に今後の上昇が見込めることになります。いくら業績が良くて瞬間的に上昇したとしても、節目を上回ることができないと、材料出尽くしになりやすい。決算以外の大抵の材料に対してもそうでしょう。材料がでた瞬間にチャート分析も同時にしなければいけないということです。

三市場の信用買い残が1兆6000億円、裁定買い残が2兆6000億円を超えてきている点は注意です。そして。個人の信用の評価損益率がプラスになっていることも。今のような上げ相場で過去の経験則を当てはめるのはどうかと思いますが、外部環境が悪化したときに始めて、こういった需給面の歪みが悪材料としてクローズアップされてきます。

きっかけは、やはり海外株安でしょう。海外投資家の日本株買いを減退させる要因は、自国市場の下げでしょうから。ダウの史上最高値更新のシナリオは個人的には変えていませんが、短期的には安値から結構なほど上昇しています。今週中に14,000ドルを超えられるでしょうか?

円高に動くと上昇しやすい銘柄をそろそろ見ておく必要があります。そうはいっても、これだけ全体が上昇しているため、円高メリット株も下げてはいないのですが、例えば、ニトリHD(9843)やABCマート(2670)など。
株高効果による消費への波及効果期待などで、高島屋(8233)、丸井グループ(8252)、H2Oリテイリング(8242)などの百貨店株などは注目でしょう。特に、昨年相対的に上昇したことで足元調整局面にありますが、H2Oリテイリングは押し目買いのタイミングかもしれません。小売に逃げるなら良品計画(7453)などにも注目です。

東野幸利
株式会社DZHフィナンシャルリサーチ