政府側の発言で上げ下げする神経質な展開が続いていますが、国内に限ってみれば、市場を取り巻く悪材料は特段とあるような気がしません。これまで買われてきた材料が少し剥げ落ちる程度、織り込み済みになるのもある意味では悪材料ですが、今こそ、外の状況もしっかりと認識しておく必要はあるでしょう。例えば、米国。

ダウ平均は高値と安値を切り上げる順調な動きですけれど、2007年の史上最高値を前に値動きが次第に小さくなってきているような雰囲気です。日本を中心としたアジア株の堅調さに比べると、さえない様子は否めません。

実は、ダウ平均は現在、エリオット波動理論では最終波動の第5波に現れやすい「ダイアゴナル・トライアングル(傾斜三角形)」を形成している可能性が高いのです。三角形の先端付近から突如として反転・急落する傾向が強いパターンでもあり注意が必要でしょう。

過去の習性値幅からは上げ一服でも不思議ではない。2009年安値7,062ドル~2012年高値13,437ドルまでの上昇幅は6,375ドルと、2002年安値7,591ドル~史上最高値までの上昇幅とほぼ等しい分だけ上昇しました。NASDAQも同様に2009年安値以降の上昇は、ダウ平均と同期間の習性値幅に準じた上げ幅で重くなっています。特にダウ平均の方は2002年9月安値を切り下げた経緯もあり、上げ幅としては限界に近い、との見方もできそうです。

仮にここで反転に転じた場合、両者にはこの先明確な違いが出てくるような気がします。NASDAQの2009年安値は2002年安値を切り上げて、その後の2007年の高値更新につながりました。つまり、米国市場が反転に転じても、NASDAQの押し幅は相対的に浅い可能性があるわけです。視覚的に大きくみれば、2,000P前後で下値固めが完了したとの見方ができ、史上最高値2000年2月高値4,696Pに向けた動きが予想され、米国市場では優位に展開していくかもしれません。足元、アップルやマイクロソフトを中心としたハイテク関連の軟調さが目立っていますけど、ここから全体が調整したあと、最初に復活するのはハイテク株中心のNASDAQの方かもしれませんね。

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一方、ハイテク株といえば、国内市場でも出遅れ銘柄が多いです。全体に過熱感が出てきた以上、今日のソニーやシャープのように、どこからか上げるための材料が出てくるような感じを受けました。

東野幸利
株式会社DZHフィナンシャルリサーチ