東京市場で2011年11月15日、東証一部の売買代金が7287億円と今年「最低」を記録しました。米国市場ではダウ平均が横ばい圏で推移しており、ここから一段高か、調整に転じるかを見極める段階にあります。そのムードに東京市場は支配されている様子で、最近の商いは超閑散。11月16日もオリンパス株が早い段階で寄り付いたことで、先物市場から資金シフトが起きている感じでした。値動きが小さいから出来高(市場参加者)が減少するのか、出来高が少ないから値動きが小さくなるのか、よくわからなくなってきましたね。
しかし、「最低」という言葉が出てくれば、ある意味チャンス。「最低」からの逆張り買い、「最高」からの逆張り売りが成功の秘訣となるのです。
四季報などに掲載されている「最高値」や「最安値」は取引時間中に付けた瞬間価格。それを日ベースに考えると、「最高」や「最低」の時間がいかに短いかがイメージできると思います。
米国市場もサンクスギビングデー(11/24)明けまでは特段大きな材料はありません。国内企業の決算発表も終わって、ちょうどこのタイミングは材料難。大証の先物の夜間取引が午前3時まで延長されたことも、日中の値動きが小さくなった要因のような気もします。
最近の海外投資家は売り越したり、買い越したり。オリンパスに粉飾疑惑が浮上したことで、日本株に対する見方が厳しくなったとの報道もありますが、短期資金は別。あくまでも、リターンリバーサル(上昇が目立つセクター・国を売って、下落が目立つセクター・国を買うなど)を取りに行くスタンスは変わらない。
ある新聞で拝見したデータですが、10月のS&Pグローバル指数をみると、世界主要市場全体で11%弱上昇したのに対して、日本株はマイナスパフォーマンス。45カ国中で最下位だったようです。先進国よりも、新興国の方がパフォーマンスがよかったそう。新興国は年初からの売られすぎの修正に入っている感じですね。
米国市場におけるETF(上場投資信託)の資金フォローをみても同じ。直近過去1ヶ月でみると、日本株関連は資金流出。BRICs諸国関連には資金が流入しています。
ただし、月別のパフォーマンスを辿ってみると、その月にパフォーマンスが悪かった国は翌月は上位に入っているケースもあるとか。2ヶ月連続で悪化したあと3ヶ月目で上位に浮上するケースが多いようです。
だから、足元の海外投資家の行動はまちまちですが、買いは突如と出てくる可能性があるわけです。「いつも私が買うと天井、高値掴み・・・」にならないように、「最低」のときに買う手段はありですね。過去のパターンでいくと、海外の大手年金は年明け第1週~第2週で日本株への資産配分を決め、早いところでは第1週から売買が始まります。米国系よりも欧州系の方が売買を始めるのが少し遅いようなのですが、2010年は1月15日、今年は1月13日にいったん高値を付けました。そのタイミングで買いが一巡してしまうのでしょう。
一方、今年は欧州債務問題で欧米金融の懐はかなり厳しい。そういう中ですが、2012年1月に向けて仕込むチャンスかもしれません、銘柄によってですけど。それがダメなら、3月末の高配当狙いにスタンス変更するのも一案です。
(※)当コラムは都合により2011年11月16日の前場に執筆いたしました。
東野幸利
株式会社T&Cフィナンシャルリサーチ