TPP(環太平洋経済連携協定)交渉。太平洋を囲む国々である東南アジア、オセアニア、アメリカなどの間で関税の撤廃、各国の様々なルールやしくみを統一して、モノ、サービスなどの移動を自由化しようという国際協定です。
それに参加すべきかどうか。本日、野田総理の記者会見があるようですが、情報が少なすぎますね。新聞やニュースで毎日のように採り上げられますが、細かく突っ込んだ話はないようです。
日本が参加するしないにかかわらず、東南アジア圏などは日本にとって重要な商圏。関税撤廃によって、自動車・電機などの輸出企業のメリットはよくいわれます。ただ、日本の製造業は相当海外で現地生産しているので、思った以上に大きなメリットはないのではと思います。輸出を増やせる環境になっても、売れなければ企業にとってメリットは大きくならない。基本的には景気です。
一方、政府調達として国内企業や製品を優遇する国があります。海外企業が投資する際にも現地採用や現地資本の導入が必要といった国がありますので、そういった規制がなくなれば日本企業が参入しやすくなるのは確か。インフラ関連における輸出拡大の恩恵が期待されるのかもしれません。これも実際どうなるか、中長期的に結果がでるかどうかもわかりません。
TPP参加でイメージできるのは、鉄道や道路などインフラ輸出。公共事業では建設会社。携帯関連ビジネス拡大の観点では、通信事業にもチャンスは広がると思います。
建設や鉄道関連、通信などは日本ではどちらかといえば内需株。以下のグラフにある通り、電機や自動車の輸出株の株価は2000年以降は大きく上昇しましたが、内需株は1989年バブル以降長期低迷しています。
逆算の発想ではないですが、長期低迷した内需株が買われる(変われる)きっかけになるのは、TPPのような大きなイベントがないと無理かも。
そういった意味でも、輸出株から長期低迷の内需株に交代するきっかけ、来年に向けての投資のヒントになるかもしれません。
例えば、鉄道インフラでは、大手鉄道車両メーカーで、日本車輌製造(7102)、近畿車輛 (7122)。鉄道車両用電装品の東洋電機製造 (6505)、鉄道車両用ブレーキシステムのナブテスコ (6268)、信号機器関連の日本信号(6741)。
公共投資では、業界大手の大成建設(1801)、海上土木の五洋建設(1893)。五洋の株価格は短期的には過熱感がありますが、ベトナム・シンガポールなどで実績があります。シンガポールの国土の2割は埋立地。その内の4割に五洋が参画しているそうです。
高速道路では、道路舗装最大手のNIPPO(1881)、橋梁の横河ブリッジ(5911)。通信ではNTT(9432)、NTTドコモ(9437)。
東野幸利
株式会社T&Cフィナンシャルリサーチ