中国の景気減速懸念は高まっていますが、13億人の人口を背景に「消費」の経済成長への貢献度合いは益々伸びる市場といわれます。ただ、自動車や家電製品などの高額商品の消費に関しては、これからは中国株の下落が逆資産効果として影響してくる可能性があるので厳しそうですね。日本の自動車株や電機株の安値更新の動きがそれを示唆しています。

一方、中国では節約志向や高齢化で恩恵を受ける銘柄に注目です。東京市場でも外需株が冴えないせいもあると思いますが、内需の小売株は底値を切り上げながら上昇が続いているものが比較的多いですし、新聞記事でも最近目立ちますよね。

高齢化といえば介護。介護関連では長期出遅れのニチイ学館(9792)。中国関連と見立てれば、この先リバウンド程度しか見込めない商社株や機械株などより面白いかもしれません。小売では、良品計画(7453)に注目です。

そのほか、全体的に信用の買い残が重荷となる中、比較的需給面に不安なしのニトリ(9843)。駅のホームゲートや自動改札機のシステム関連の日本信号(6741)はSuica、PASMO、ICOCAなどの交通系ICカードによる相互利用サービスの実施が追い風になる公算もあるかもしれません。株価は2002年安値213円から底値を切り上げていますが、こんな感じの波形(動き)が将来強くなるんですよ、きっと。
最近は話題が少し減った任天堂(7974)。もし、13650円を超えるようなことがあれば、買いと考えるのも1つの考え方でしょう。

日本企業の経営統合やM&Aの話が目立ってきました。最近、動きのあった上場企業では、武田薬品工業やアサヒグループHD、日清紡HDなどがそう。歴史的な円高で苦しむだけでなく、海外企業へのM&Aを活発化させています。

昨年あたりから世界的にM&Aは復調してきているし、日本企業も商社中心に資源獲得に向けて意欲を注いでいます。内需縮小や電力不足などが重なった要因もありますが、今年上半期に海外企業へのM&Aに費やした金額は過去最高額を記録し、やはり中国中心にアジア向けが多いそうです。

円安反転で見かけ上の業績改善もいいけれど、外需の恩恵をフルに享受できるようにならないと、欧米のグローバル企業には勝てない。日本の上場企業はたくさんお金を持っていますし、大手銀行も比較的痛んでいない。将来に向けて大きく返ってくれば、日本企業は苦境を乗り越え大変身するの可能性もあります。

コラム執筆:東野幸利

株式会社T&Cフィナンシャルリサーチ