日経平均は200日線(9863円)あたりまで上昇してきましたが、主力株の動きがさえないせいか、この先は予想が難しい。贅沢なもので、もう少し伸びる気もしてきました。前回お話しした、一目均衡表の先行スパンの片方が7月5日~6日に向けて大きく下がること。震災後の安値以降、先行スパンが下に大きく下げた局面は5月6日と31日の二回あり、いずれも高値を付けたタイミング。

また高値の時期と一致するとすれば、1万円をもう一度付ける? 一方、注目しているのは、4月19日安値9441円~5月2日高値10004円までの上げ幅563円。直近の6月17日安値9351円から同値幅上げるとすると、9914円処まで上値を伸ばす可能性もありましょう。ただ、そこで終わってしまったら、また調整局面入り・・・となってしまう可能性がある。7月5日~6日に向けては、むしろ調整する方が、上昇基調が長持ちするのかもしれません。

日本株は欧米市場と違って、3月に急落したあとの戻りの過程にあり、最近の調整は深くありません。ですから、上がりだすと、欧米株をアウトパフォームしてくる可能性は十分に考えられます。

しかし、テレビを手掛ける企業の業績不振が気になります。ソニーの安値更新やパナソニック、シャープなどの株価がさえません。6月23日付の日経新聞、「市場が変える業界地図」の中で、その背景を上手く解説していました。以下に簡単に紹介します。

総合電機3社(日立、東芝、三菱電機)の業績回復を下支えするのはリストラと成長戦略。総合電機3社の時価総額は、ほぼリーマン・ショック前に並ぶのに対し、家電3社(パナソニック、ソニー、シャープ)合計の時価総額は、リーマン・ショック前からほぼ半減。 家電3社は成長戦略の中核だった薄型テレビ関連の事業が足かせとなり、今期合計の最終利益見通しは、2008年3月期に比べると2割にも満たないとのこと。液晶テレビの価格下落が止まらず、ソニーは前期まで7期連続で関連部門が営業赤字。国内の家電大手はアジア勢力の拡大などで厳しい競争条件に置かれている、といった内容でした。

ソニー株の過去の値動きで、それを見透かすように軟調な局面がありました。特に、2010年3月高値~同年7月までに13週間連続した弱気の陰線。3月震災後の安値からの反発のあとも、いろいろ悪いニュースが重なりましたが、それでもかつてのソニーなら主軸商品の好調でリカバーできたはず。しかし、安値をあっさりと下回り、一時は2000円割れ。重電買いの弱電売りの構図でしょうか。ソニー神話はもう通用しない、と改めて感じるところです。

かつて、IT相場で富士通が5030円の高値を付けたあと300円近くまで売り込まれ、NECが3450円の高値から200円を割り込むまで低迷を続けました。単なる妄想ですが、家電大手の株価にはそういった雰囲気を感じます。

さて、6月相場も終わりました。次回は、年後半に向けての中期有望銘柄を再考したいと思います。
東野幸利
株式会社T&Cフィナンシャルリサーチ

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