祝日開けの24日、地政学リスクがマスコミなどで全面的にクローズアップされた一日でしたが、東京市場では日本株の底堅さが確認され始めると、「調整局面は押し目買いだ」との見方が徐々に増えてきました。今の地合いの強さを象徴していますね。
と、いつもポジティブではバランスが悪いので、たまにはネガティブな話しも・・・

少し気になりだしたのが、地政学リスクの影に隠れていた米住宅市場回復の鈍さ。その日発表された10月の米中古住宅販売は2.2%減の443万戸(前月453万戸)と予想以上の落ち込みで、前年同月比では28%の減少。米国株式市場の下げの要因は地政学リスクにかき消された格好になりましたが、中国株式市場ほどではないにせよ、足元の需給の悪化はやや気にしたほうがいいと思います。
来月初に向けて米国では重要経済指標の発表が続くことに加え、25日の感謝祭明けの「ブラック・フライデー」から約1ヵ月におよぶクリスマス商戦がスタートします。クリスマス商戦は米小売業の年間売上高の約2~4割を占めるといわれるだけに、立ち上がりの好調が確認されれば、個人消費への期待が高まるとみられます。
全米小売業協会(NRF)では、2010年のブラック・フライデーを含む週末3日間の買い物客が、前年比400万人増加する見込みとしています。NRFでは11~12月の年末商戦売上高を2.3%増と予想。ちなみに2009年の年末商戦売上高は0.4%増、金融危機さなかの2008年は3.9%減でした。 

今年は経済や雇用情勢が芳しくないことが逆風になると懸念されている一方、年後半からの株高や雇用悪化の一巡、値下げによる需要喚起などもあって、比較的良好な結果を予想する声もあります。米国全体の小売売上高が4ヵ月連続で増加している勢いもあってか、足元やや期待する向きが多くなってきているのも確か。ただし、期待ハズレに対する・・・そうならなかった場合の株式市場の反応が懸念されます。

ドル円相場は83.50円処にある雲上限まで回復したあとは、その壁から先へ進めません。壁を何度もトライしながらもいずれ突破して、ドル高円安の方向へ加速するとみるのか、逆に先へ進めないドルの上は重いとみるのか。
今は、北朝鮮に絡む地政学リスクや、アイルランドを中心とした欧州財政問題といった大きな懸念材料に隠れていますが、住宅指標などに続いて米経済指標の悪化が続けば、金融緩和観測を再び強めることになりかねません。
短期的なドル安への反転は過熱感気味の東京市場にとって、地政学リスクよりも大きくなる可能性がある点には留意する必要はあります。

東野幸利

株式会社T&Cフィナンシャルリサーチ

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