このNY株の下げ、ダマシの値固めか、本格下げの兆候か? 最近の弱い経済指標を受けてさえないNY株式市場ですが、ある意味、注目すべき分岐点に差し掛かろうとしています。「3」つの谷を経て明るい光が見えてくるか、「3」つの谷からさらに深い谷底を探りにいくかどうか、チャート上での分岐点ということです。

米国の代表的な株価指数のひとつで、時価総額の大きい銘柄で構成されるS&P500指数。「3」つの谷とは、最初の谷が6月前半の安値、真ん中の谷は「3」つのなかでいちばん深くなる7月前半の安値。そして、足元の下げが最後の谷になる可能性がある、ということ。 
今の段階では妄想に過ぎませんが、最初の6月前半の安値と同じ水準の1050P処で下げ止まり反転すれば、見立てとしては「三尊底」のような株価パターンに・・・

「三尊底」は「三尊天井」の逆。「三尊天井」は「3」つの山で作られ、最も大きな真ん中の山は釈迦如来、その左側の最初の山が文殊菩薩、右側の最後の山が普賢菩薩という組み合わせ。欧米では「ヘッド・アンド・ショールダーズ・トップ」といいます。これは相場の世界では典型的な天井形成パターン。その逆の「三尊底」が底値形成パターンというわけです。
4月高値からの下落率の低さや調整期間の短さなどを考慮すると、「三尊のそこ」とまでは言い難いかもしれませんが、値固めのパターンとしては強い認識でしょう。
確かに、ここからさらに下げ幅広げたあと上昇するよりも、傷が浅い方が高値を見込みやすい。ここから「三尊底」のパターンが形成されれば、今年の高値は十分狙える可能性は高くなると思います。
逆に、「三尊底ならず」だと、まだ下が深いかもしれません。1050P処で下げ止まらず、7月前半の安値を下回る展開ともなれば、いずれリーマン・ショック直後の09年3月安値からの上昇分を本格的に調整する段階に入ってくるかもしれません。

ところで、今年は米中間選挙の年。中間選挙の年は景気低迷などが要因で、秋口にかけて株価はボトムを打つことが多く、大統領選挙の前年から選挙の年は上昇しやすいというアノマリーがあるのは有名。大統領選挙の前年は選挙対策による経済政策などが好感されやすいといった理由からです。過去データからの経験則に過ぎないのですが、不思議とよく的中する現象です。
アノマリーといえばもう1つ。米国市場で最も代表的なダウ平均の月別騰落率ですけど、9月の過去10年間における月間平均パフォーマンスはマイナス2.9%程度と12カ月中で最悪。ただ、10月~12月の間は第4Q(10-12月期)の企業業績への期待感から先回り買いが強まる時期でもあって、パフォーマンス(10月+1.17%、11月+1.51%、12月+0.99%)は年間でも比較的良好。足元の下げ局面から来週は9月に入りますが、9月は買い場になるでしょうか。

東野幸利

株式会社T&Cフィナンシャルリサーチ

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