連休明けの東京株式市場は売り一色の展開に。4月30日に東京市場が引けたあと、きょうの朝まで4日間の米国株式市場の上げ下げを大半の人は指をくわえてみる以外方法はなかったわけですが・・・この下げで「やばい、売らねばならぬ」、と思った人はどれくらいいるか?
私は週末に海外市場が動きそうなときは、わざと日曜日の夕方まで海外市場であったこが目に入らないようにしています(テレビのニュースを限定するとか、新聞は見ないとか)。ただ今回、4日間のマーケット動向を見ずにGW最終日5日まで引っ張ると、さすがに頭の中が混乱しそうなので、日々の動きは一応チェックしたつもり。米ダウ平均が100ドル以上下げたと思いきや次の日に100ドル以上戻すなど、ひょっとすると高値圏の独特の動き?などとも思いながら、「大幅に下げる可能性あるなぁ~」と思っていましたが・・・、まさかGW中に200ドルを超す下げがあるとは思っていませんでした。
ただ、それ以前から東京市場含めて波乱含みの動きになっていたせいか、急落の影響というほど、東京市場は悲惨な状態ではなく、安く寄り付いた状況から上にも下にも動かず。
欧州ソブリンリスクといった大きな悪材料がマーケットを覆っていますが、いずれ解消方向に向かうといった向きが多いのでしょう。「大き過ぎて潰せない」といった思いでしょうか。売りをためらっている様子が伺えます。しかし、怖いのは表面的には欧州ソブリンリスクといえども、日米ともに企業業績の好調をすでに織り込んでおり、マクロ指標の改善モメンタムが徐々に低下していくのを織り込む株価の下げが内包されているならば、これは注意が必要ですよ。新興国での需要減退などもそうです。それらにみんなが気付かされたときに、今ためらっている売りが出てきますから・・・5月中旬あたりまでの動きは重要でしょう。
欧州リスクがいったん和らいだあと、戻らない相場ならば、企業業績や好調なマクロ指標は織り込んだ可能性が高く、調整が長引くかもしれません。そこを注視しましょう。
現状の下げの範囲ならば、中勢上昇トレンドは簡単には崩れませんが、日経平均の4月5日高値の11339円というレベルは過去の動きから算出される目標値の1つ。そこに到達したあとのこの目の覚めるような下げですから、今年の高値はすでに終わっていても不思議ではないのです。
「強気の強気があらわれたときが真の高値になるケースが多い」、とどこかで同じようなことをご紹介しましたが、自分自身であったような気がしないでもないですが・・・・。
ある雑誌の取材で散々の強気をいったあと、最近その発売日に雑誌が届けられて、改めて私の今年の日経平均の高値予想13000円に驚いてしまいました。以前の見通しは11700円~12500円程度だったのですが、強気相場に気持ちが緩んでしまったか。自分自身が誰よりも強気になったときが一番危ないということをいつも忘れてしまいます。
今年の2月安値からの上昇局面では特に強気派が増えて、12000円~12500円といった目標を出す市場参加者が多かった。市場参加者の予想が収れんした水準にはいつも届かずか、そこをあっさりと超えてしまうケースが多いものです。私はある意味、あっさりと超えてしまうケースを今年は想定したことになりますが、逆に12000円に届かずで調整局面入りの可能性も出てきた雰囲気でもありますね。
そうはいっても、今年の高値13000円の見通しは変わっていません。一気にいってしまうよりは休息をとった方が、走りは長続きするものです。弱気派が大半を占めるような相場になるまで我慢しましょう。
東野幸利
株式会社T&Cフィナンシャルリサーチ