直近10年間のNYダウの月間平均騰落率をみると、10月は3.9%の上昇と12ヵ月のうちで最もパフォーマンスが良いのです。それ以降でも11月2.1%、12月1.6%と米国でいう第4四半期のパフォーマンスは格段によくなる傾向があると、いつか指摘した覚えがあるのですが・・・果たしてどうでしょうか。

 テクニカル面では、昨年10月高値14198ドルを基点として、下げ上げ下げの三波動構成の動きが継続していましたが、9月29日NYダウの777ドル安の急落時のザラバ安値で、10300ドル前後に到達いたしました。
 95年に上昇が加速した起点から結ばれる支持線に到達した格好になっています。ITバブルの高値以降の動きで形成された上値抵抗線(現在は下値支持線)までプルバックする動きにもなっていまして、それが今後の反発期待に繋がっていくと思われるのですが・・・。昨年10月高値から下げた理由が何であれ、プルバックは株価の習性としては良くある動きであり、それが月単位の長いタームで起こった現象であると認識することができます。さらに、2004年に形成した横長のダイヤモンドのもち合い相場における高値と安値の中値が10350ドルであり、29日のザラバ安値10360ドルとほぼ一致するのも、私としては興味深く感じております。そういった意味で9月は折り返し地点に到達で、まずは11500ドル前後の水準を超えることが出来るかどうかの見極めが必要でしょう。なかなか文章だけではわかりづらいですが。

 日経平均は次々と下値の節目を割り込んでいます。特に9月の最終取引日となった30日は、NYダウの777ドル安を背景に、東京市場は投げ売りで反応しました。評価損拡大からポジション解消の動きが強まりさらに売りが加速。まさにセリングクライマックスに近い状況であったと思うのですが・・・そんなにあわてて投げる水準でもないですよね。何がこんなに弱い相場を作っているのでしょうか。今日の相場なんかは典型的ですね。日経平均は全然下げてないのですが、一昔テーマにのって大きく上昇した株がまだ下がっている。まだ、ファンドは持っていたのか。相当換金要請や、キャッシュ化がかなり進んでいますよ。逆に、チャンスといえばチャンスですね・・・私、毎回言っているような気がします。
 10月は金融危機に対する懸念が一旦収まる可能性があり、決算に対する思惑やマクロ経済指標を見極めながら一喜一憂する展開かと思っています。第2四半期の決算内容が出てくる月後半あたりから、バリュエーション面での割安感が理由となり徐々に反転の兆しが出てくるものと思われます。

 日経平均の変化日は、10月7日から9日、28日前後と考えています。8日は、昨年8月17日安値から今年3月17日安値までの「141日」を、その3月安値からあてはめた日柄。
 また9日は、2006年4月7日高値から昨年7月9日高値までの「310日」を、その7月高値からあてはめた日柄となることや、日経平均の180日周期を今年1月22日安値からあてはめた日柄ともなります。
 昨日の陰の陰はらみ足は今日の動きから考えて、加速の分岐点になりそうでしょうか。でも先月18日のように下だと思って急速な上げがあってもいいぐらい、昨年高値から相当下げた水準にあることを注意してください。こんな状況ですから何があってもおかしくありません。どれだけ効果があるかわかりませんが・・・・"世界協調利下げ"ってこともありえますから。ただ、さらに下に突っ込めば・・・上記の変化日に下げ止まりの動きが出るかどうかがポイントです。

 下値メドは、2006年4月高値から6月安値までの下げ幅3517円を直近6月6日高値から下げた水準である11084円前後。さらに、11000円割れでは6月6日高値から7月16日までの下げ幅を7月16日から下げた水準となる10740円前後、9月18日安値から22日までの戻りに対する倍返しの下げとして10338円などと考えています。これも文章だけではわかりませんね、すいません。

 業種面では銀行セクターに注目です。2006年4月、TOPIXや他のセクターに先駆して高値を付けた銀行セクターは、それ以降TOPIXの高値更新過程でも下落トレンドが続いていました。その結果、一足先に安値を付けた銀行セクター、特にメガバンクの株価が相対的に足元堅調に推移していますよね。一方、鉄鋼や海運、機械など2007年以降に高値をつけたセクターは、足元の株価を見るように、需給面の悪化からしばらくは調整に時間がかかりそうです。あと小売りセクターも銀行セクター同様に高値を付ける時期が早かったセクターです。シコリがほぐれたセクターから拾っていくと面白いですよ。これぞ循環物色。ですからいずれ鉄鋼、海運、機械なども来るわけです。どんなテーマに乗ってくるか。当面、「新興国ブーム」以外でインパクトのあるテーマは出てきそうにありません。
 やはり、第2四半期決算内容を見極めながら、"売られすぎでしょ"と思われた銘柄からくるんだと思います。

東野幸利
株式会社T&Cフィナンシャルリサーチ

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