「出来高が増えませんね。」とよく言われますけど、ちょっと意義ありですね。増えてから強気~?教科書的には出来高は株価の先行指標といわれ、出来高増加は株価上昇の先行シグナルとなるのですが、実践的にはケース・バイ・ケースです。株価が上昇してから出来高が増えるケースだってあるのです。現在のマーケットはそうではないでしょうか。昨年からこれだけ下げて、投資余力が低下しているところに少々反発した程度で出来高が増えるわけがありません。大半の投資家の投資余力が低下しているわけですから、増えるわけがないのです。増えるのはこれから、株価上昇が軌道にのってからです。今、株価反発と同時に出来高が増えるのであれば、こんなに深く下げてませんよね。 短期的な売買もそうです。値動きが良いから飛びつくケース。そこが最も出来高が多くなるパターンです。そのようなケースでは高値圏でシコリが出来てしまって、信用の期日まで時間稼ぎするといったケース。経験されたことはないでしょうか。
信用取引と聞くと、私は証券営業マン時代に担保不足になったお客様のご自宅に訪問して、「追い証」をよく集金にいった時の映像を記憶に残しています。集金というと、何故か綺麗に聞こえますが、これが一番苦労した仕事でした。今はすべてネット経由(?)なので、証券会社にとってもお客様にとってもその点便利になったでしょう。
信用取引を長く継続するコツは、やはり「ロスカット」を常に意識することです。大きく損をして株式取引から撤退したくないですよね。そのためには「ロスカット」です。
例えば、3銘柄信用で買っていた場合、2銘柄が評価益、1銘柄が評価損だったとしましょう。2銘柄の評価益を先に売りたくなりますが、実は自分の思惑が外れてしまっている評価損の1銘柄の方を売ったほうが(買った時期や評価損、その他の要因もありますが)、結果的にトータル損益は向上するケースが多いのではないでしょうか。2銘柄を先に売って利益確定しても、残りの1銘柄の評価損が拡大し利益確定分が簡単に消えてしまうパターンがよくあります。オプションの両建て取引なんかも同じ考え方だと思います。自分でロスカットルールを決めておくと、意外と立ち直りは早くなるものですよ。
信用取引はサヤ取りの取引ではありません。現物取引同様、安い時に買って高い時に売る。これが鉄則です。出来高が少ない状況で安く買えて、それが上がり出したら、どんどん買い乗せていくわけです。売りから入る場合も一緒(売り乗せ)。やたらと銘柄数を増やして分散投資の効果に酔うよりも、トレンドを意識して買い乗せ(トレンドフォロー戦略)を重要視するほうが効果は高いと思います。ただ、スタート時点が問題です。最初の話にもありましたように、値動きが良いから飛びつくのはいけません。それこそ、その時期にだれも買わないような銘柄をこっそり買っていたほうがリスクは少ないです。たとえ業績があまり芳しくない銘柄でも、出来高急増銘柄に飛びつくリスクに比べると小さなものですから。これまでいろんなタイプの信用取引のお客様を見てきましたが、最後まで成功、利益を積み上げているのは、そのような方法をとっている人ばかりでした。
そして、投資ポジション管理を行うと同時に、株式の投資行動に対する自己分析も行ってみてください。
今晩のマネックス勉強会「一目均衡表の基本的な見方」の準備のため、今回はこれで終了させていただきます。4月も今晩の続編、「均衡表の時間論と陰陽足」を予定しておりますのでよろしくお願いいたします。
(株式会社T&Cフィナンシャルリサーチ 東野幸利)