名実ともに9月相場入りする今週は、動意に欠けたスタートとなりそうだ。週初3日はレーバーデーで米国市場は休場である。今の日本株相場は米国次第というところがあるので、動きが出てくるのは火曜の米国市場を反映する水曜日以降か。それまでは、本当は何の関係もないのに手控えのエクスキューズとして新興国通貨安懸念みたいな話が蒸し返され、いたずらに不安心理が高まるかもしれない。米国投資家不在、動けない投資家だらけの隙を衝かれ、投機筋からの仕掛け的な売り崩しには一応、警戒するに超したことはない。
トランプ大統領は、6日の意見募集期間終了後、直ちに2000億ドル相当の中国製品に対する追加関税を発動させたい意向であると報じられた。それを受けて先週金曜の日経平均は一時200円近く下げたが、その後下げ渋りプラスになる場面もあった。背景には、トランプ大統領の意向がどうであれ、実際には難しいだろうという観測がある。ひとつは手続きがそんなに迅速にできるかという問題と、もうひとつは2000億ドルとなると広く国民生活に影響が及ぶという問題である。
日経平均が下げ渋ったのは中国の製造業PMIが市場予想に反して改善したこともある。中国はすでに景気対策に乗り出しており、それに先だって景況感が改善した格好だ。当たり前だが景気が悪くなりそうなら政策対応が打たれる。この点は日本でも同じだ。先週金曜日、日本の7月の鉱工業生産指数は中国のPMIとは正反対に市場予想に反して低下した。これで3カ月連続の低下である。トランプ政権がちらつかせる自動車の関税引き上げもどうなるかわからない不安がある。そうしたところに、すかさず自動車減税の話が出てきた。自民党の宮沢洋一税制調査会長は「自動車課税は税負担が重い。議論が必要だ」と述べ、引き下げに向けて検討する考えを示したと土曜日の日経が報じた。
こういう動きが出てくると、ますます売り方は売り込みにくくなる。実際、金曜日も安値から戻したように、売りっ放しにはできないだろう。一方、上値は2万3000円の壁に抑えられ、結果、値動きの乏しい膠着相場となっている。
しかし、そんな中でも、東証1部の売買代金は先週木曜が2兆6000億円台、金曜が2兆4000億円台とそれなりに膨らんできている。9月は投資家がマーケットに戻ってくる(べき)月である(セル・イン・メイの続きは「9月に戻ってくるのを忘れるな」)。レーバーデーの3連休明けから本格的な秋相場、すなわち今年の終盤戦に入る。商いがどれだけ活況になるかに注目したい。
今週は月初週に当たり、米国の重要経済指標の発表が目白押し。ISM製造業景況指数(9/4)、貿易収支(9/5)、ADP雇用レポート、ISM非製造業景況指数(9/6)、そして雇用統計(9/7)である。指標を受けて米国株、あるいはドルが大きく上昇すれば日経平均も2万3000円の壁を上抜いていくだろう。イベントとしては北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉で、米国とメキシコが大筋合意したのに続いて、カナダとの協議の行方。進展次第で相場上放れの材料になる。
予想レンジは2万2800~2万3200円とする。