果たして、衆議院は解散されました。政治については、「物云えば唇寒し秋の風」、コメントは控えたいと思います。ここでは、このような「解散・総選挙」と云うイベントが、マーケットにどのような影響を与えるかを考えてみたいと思います。
A党の影響が強いとマーケットは上がる、或いは下がる、Bだとこうなる、Cだとこうなる、と云った読みがあるとします。この場合、Aが勝つか負けるかだけで考えると、マーケットは上がるか下がるか、と云った二者択一的な議論になります。しかし実際にはABCの影響力のブレンドであり、選挙前のABCの割合と、選挙後のABCの割合に、ABCそれぞれのマーケットへの影響を掛け合わせて、そうして出来上がった期待値の和の変化に注目すべきだと思います。マーケットはいつだって、二元論ではなく、複雑多様な要因が織り込まれた結果の期待値の推移だと思うのです。
そう考えると、今回の総選挙とマーケットの関係も、或る程度整理して考えられるのではないでしょうか。或いは今日何故マーケットは上がったかを、上記の式に代入するようにして、逆算してみるのも面白いでしょう。政局とマーケットの動きを両睨みにして、世間の期待・見積もりを逆算するのです。政局は分からないけれども、マーケットはいつだって興味深いですね!
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。