ドル/円は、このところ本欄で注目してきた「2月初旬から形成されている上昇チャネル」の下限をいまだ明確に下抜けていません。つまり、なおもチャネル内での価格推移が続いているということになります。では、4月11日にチャネル下限付近で下げ止まって反発したドル/円は、今後再びチャネル上限を試すような展開となるのでしょうか。
仮にチャネル上限を試すとするならば、それは4月4日の高値=104.13円を上回ることを意味するわけで、そうして上値を切り上げて行くうちに「いずれは1月2日高値=105.44円にも手が届く」との見方ができそうな気もしないではありません。果たして、そうすんなりと行くものでしょうか。もちろん、少し長い目で見ればドル/円が1月2日高値を上抜けて、そこから一段と上値余地を拡げる場面も訪れるものと考えます。しかし、それはまだ少し先のことになるのではないでしょうか。
本欄の3月12日更新分でも述べたように、目下のドル/円の値動きは日経平均株価の値動きと切っても切れない関係にあります。その意味で今後、日経平均株価が一段の下値を試す展開となるならば、やはりドル/円も今しばらくは調整色の濃い展開にならざるを得ないものと考えます。そこで、今回はあらためて日経平均株価の値動きに注目します。
下の図でも確認できるように、日経平均株価は3月7日に一目均衡表の日足「雲」に上値を押さえられるような格好で天井打ちから反落し、3月17日安値で一旦底入れして切り返したものの、4月3日に再び日足「雲」上限付近で上値を押さえられて、後に14000円割れの水準まで急落することとなりました。この急落に伴って、日経平均株価は再び日足「雲」を明確に下抜け、日足の「遅行線」も日々線を下抜けたことで、現在は「三役逆転(=陰転)」の弱気シグナルが灯った状態にあります。
3月以降、2度までも日足「雲」に上値を押さえられたうえ、4月3日高値は3月7日高値よりも水準を切り下げました。直近では4月11日、14日に連日で13885円の安値を付け、そこからは一定の反発を見ていますが、これは昨年6月13日安値から12月30日高値までの上昇に対する61.8%押しの水準に到達したことで、一旦下げ渋ったものと考えることができるでしょう。いずれにしても、昨年6月安値から12月高値までの相場の流れと、今年年初からの流れが対照的であることは一目瞭然です。
そして今、何より注目しておきたいのは、昨年9月初旬から形成されていたと見られる三尊天井(=ヘッド・アンド・ショルダーズ・トップ)のネックラインを日経平均株価が明確に下抜ける可能性が出てきたという点です。このネックラインは、いずれも重要なチャートポイントと考えられる昨年10月安値と今年2月安値を結んだ直線です。ここは、三尊天井の定義云々の問題ではなく、このようなチャート形状が描かれるほど足下の相場は一時的にも勢いを失っているということが重要でしょう。
本日(16日)は、朝方からドル/円、日経平均株価ともに大幅上昇。その背景には、一部メディアが「4月の月例経済報告で国内景気の基調判断を下方修正する方針」と伝えたことで、またまた日銀の追加緩和期待が盛り上がっていることにあるようです。しかし、4月7-8日に行われた日銀会合後にも、市場の期待があえなく失望に変わったことは事実として念頭に置いておかねばならないものと考えます。
コラム執筆:田嶋 智太郎
経済アナリスト・株式会社アルフィナンツ 代表取締役