消費増税実施2日目の本日(2日)、ドル/円は3月7日高値=103.75円を上抜け、日経平均株価は取引時間中に15000円台を回復するなど、正直、想定していたよりも円安・株高方向へやや傾いた展開となっています。

ただ、いまだ増税に伴う影響は不透明な段階であり、実際に昨日(1日)発表された3月の日銀短観では3か月後の先行き見通しが市場予想の中心値より大きく低下するなど、国内企業が増税後の景気の先行きを予想以上に案じている状況が明らかになったことも事実です。この日銀短観の結果は、かえって市場における日銀の早期追加緩和観測を強め、結果的に円安が進行するといった状況にもなっており、来週の日銀金融政策決定会合で政策据え置きが決定されたならば、その反動が生じることもあり得るでしょう。

周知の通り、ドル/円は3月末から月替わりにかけて一目均衡表(日足)の「雲」上限を再び上抜け、足下では少々強めの展開が続いています。前述したとおり、ここで3月7日高値を上抜けてきたことで、2月初旬からのリバウンドはいまだ継続していると判断されることにもなります。とはいえ、なおも2月初旬から形成されている緩やかな上昇チャネル内での推移に留まっていることも事実(下図・左参照)であり、目先はチャネル上限付近で上げ渋ることとなるのかどうかが大いに注目されるところです。

また、足下では日足の「遅行線」が日足「雲」上限に接近しており、今後は同水準を上抜けるか否かという点からも目が離せません。この日足「遅行線」は日々の終値を当日を含む26日前の位置に記入するもので、大よそ1か月前の水準と現在の水準を一目で比較することに役立ちます。もちろん、現在は大よそ1カ月の水準よりも1円以上高い水準に位置しているわけで、当時ドル/円にロング(=買い)を仕掛けた投資家のなかには、ここで一旦利益を確定しておこうと考えるかもしれません。

本日を含む26日前の日足「雲」上限は104.03円に位置しており、日足「遅行線」が日足「雲」上限付近で上値を押さえられるとするならば、まずは同水準が目先的な上値メドの一つということになります。なお、本日時点においては、同水準と前述したチャネル上限がほぼ同じところに位置しており、やはり104円を少し超えたところは市場で意識されやすいところということになるでしょう。

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もちろん、本欄の3月5日更新分でも述べたとおり、長い目で見ればドル/円は基本的に強気です。ただ、過去においてドル/円の月足「遅行線」が肝心なところで月足「雲」上限に上値を押さえられた場面というのも幾度かあります(上図・右中の赤点線丸部分を参照)。それは、一つに07年6月に124円台の高値をつけて反落した場面であり、最近では今年の1月に105.44円の高値をつけて反落した場面です。

筆者は、近い将来において、いよいよドル/円の月足「遅行線」が月足「雲」上限を上抜ける場面を目の当たりにするものと考えています。とはいえ、まだ当面は月足「雲」上限付近で上値が押さえられがちとなる可能性も十分にあり、その意味では当月を含む26か月前の月足「雲」上限が位置する水準=104.47円というのも、当面の上値メドの一つになり得るものと見ておきたいところです。

コラム執筆:田嶋 智太郎
経済アナリスト・株式会社アルフィナンツ 代表取締役