J-REIT価格は、反騰の動きとなっています。東証REIT指数は株式市場と同様に2月6日に急落し2月15日には年初来安値を更新する1,637ポイントとなりましたが、その後は反発し2月20日には2月5日以来となる1,700ポイント台を回復しました。

J-REIT価格は急速に反騰しましたが、2月13日に公表された1月の売買動向を見る限り従来以上に今後の下落に注意が必要な状況となっていると考えられます。従って今回は、売買動向から見る注意点について記載していきます。
1月は東証REIT指数が終値ベースで前月末の1,662ポイントから一時1,768ポイントまで大幅に上昇した時期でした。この価格上昇を牽引した投資主体は、昨年11月の価格上昇時と同様に外国人投資家でした。外国人投資家は2017年11月に354億、2018年1月に396億円もの買越しを行っています(図表1)。

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外国人投資家は、株式市場では1月の第3週には1,991億円、第4週には3,588億円を売越し、利益確定の動きを強めていました。一方でJ-REIT市場に対しては、東証REIT指数が1,700ポイント以下の水準であれば外国人投資家から見れば割安感がある水準に映っている可能性があります。冒頭に記載した直近の価格反発も外国人投資家の影響が強いものと考えられます。

ただし、外国人投資家は、日銀が異次元金融緩和策を始めた2013年4月以降で見れば売り買いが交錯する投資主体です。例外は、日銀がマイナス金利政策導入後の2016年2月から4月にかけて月平均で874億円もの大幅に買越しを行った時期だけです。従って今後も安定的な買越し主体となることは期待出来ません。

次に売越し主体となった投資部門で最も端的な状況は、2017年4月から続く投資信託の売越し基調が1月も続いたことに加え、売越し額が最大となった点です(図表1)。が、投資信託の売越しが拡大したかたちになりました。

投資信託に投資を行っている個人投資家は、価格上昇を好機と捉え売却を行ったものと考えられます。従って、外国人投資家の買越し基調が続いたとしても投資信託の売越し基調は1年を超えて今年の4月以降も続く可能性が高まっているため、J-REIT価格上昇を妨げるものとなりそうです。

また日銀を除く金融機関も1月に売越し額が拡大した投資部門となりました。J-REITの利回りは17年6月から4%を超える水準になり、価格下落に伴い一時4.3%まで上昇したことで日本の10年国債利回りとの差異(イールドギャップ)は大幅に拡大しています。イールドギャップの拡大は金融機関の投資を誘引するとされていましたが、実際には図表2の通り差引売買金額は年度別では図表2の通り2014年度をピークに買越し額が減少し、2017年度は1月までですが大幅な売越しになっています。

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このような投資部門別の売買動向を見ると、J-REIT市場は外国人投資家が売り越し姿勢を強めた場合には買い手不在の状況が長く続くことになりそうです。2月初旬のように海外市場が急落した時だけでなく、17年と同様に数か月にわたる下落局面も想定しておく必要がありそうです。

コラム執筆:アイビー総研株式会社 関 大介

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