年明けから今日に至るまで、グローバルマーケットはまさに大荒れの展開。昨年を通じて見られたドル/円・クロス円上昇、日米株価上昇といった傾向に明らかな逆流が生じています。もちろん、これはある程度想定されていたことであり、これまで本欄でも幾つかの重要な変化の兆しに注目してきました。ここで、あらためて年明けからの本欄更新分(4回分)をおさらいし、今後の予想につなげてみることとしましょう。
まず、1月8日更新分では「ドル/円の第5波の終点を見定めることが重要」とし、1月2日につけた高値=105.44円が「第5波の終点となった可能性は否定できない」と述べました。もちろん、この時点ではあくまで一つの可能性に過ぎなかったわけですが、ドル/円の105.50円前後という水準が非常に重要な節目であることは以前から認識されていたわけで、ここは大いに基調転換の可能性を想定すべき局面であったということができます。
また、この1月8日更新分ではドル/円が21日移動平均線(21日線)を明確に下抜けた場合、そのインパクトはそれなりに大きいとも指摘しました。そこで、翌週の1月15日更新分では21日線の重要性について再考しています。ここでは、ドル/円に限らずユーロ/ドルの値動きにも21日線が大きく関わっている可能性に注目したわけですが、実際に21日線が大きな存在として意識されたのは、むしろユーロ/円の方でした。
そこで、1月22日更新分ではユーロ/円に注目し、やはり21日線が強い上値抵抗となっている点を確認したうえで、さらに一目均衡表(日足)の「雲」の存在に目を向け、この雲がユーロ/円にとって文字通り「暗雲」となる可能性を指摘しました。もちろん、ユーロ/円の行方にはドル/円の動向が大きく関わっています。そこで、1月29日更新分ではあらためてドル/円が置かれた状況に焦点をあて、そこからは「105.44円からドル/円は本格的な調整局面に突入した」という前提で当面の下値余地を想定することとしました。
目下は、市場に強いリスク回避ムードが拡がっているなかでドル高&円高の傾向が強まっています。結果、ユーロ/ドル下落&ドル/円下落となっているわけですから、さすがにユーロ/円はたまったものではありません。実際、下の図でも確認できるように、もはやユーロ/円は89日移動平均線(89日線)を下抜けたうえで、さらに日足「雲」の下限をも下抜けたことで「三役逆転(=陰転)」の弱気シグナルが点灯しています。
図中では、ユーロ/円の過去の主要な安値がいずれも日足「雲」下限水準で下支えされている(=「雲」下限を明確に下抜けていない)ことが確認できることと思います。実のところ、ユーロ/円の位置する水準が日足「雲」下限を明確に下回る状態となったのは12年8月以来のことであり、これは相当に大きなインパクトです。よって、ユーロ/円の今後の下落リスクには十分な警戒が必要となるでしょう。
目下のユーロ/円は、昨年4月3日安値と11月7日安値を結ぶ中期サポートライン(図中の青点線)に下支えされた格好となっています。しかし、なおもドル/円に十分な下値余地があると考えるならば、いずれユーロ/円も前述のサポートラインを明確に下抜け、さらに下方に控える200日移動平均線(200日線)をも下抜けることとなる可能性は高いものと思われます。そうなった場合に意識されやすいのは、一つに昨年11月7日安値や10月8日安値が位置する131円台前半の水準ということになるものと見られます。
コラム執筆:田嶋 智太郎
経済アナリスト・株式会社アルフィナンツ 代表取締役