昨日は大きく日本株もドルも売られ、日経平均は1000円近く下落し、ドル円も101円台まで円高が進みました。しかし今日は日本株は昨日の下落幅を全て取り戻し、ドル円も105円台まで円安となり、こちらも昨日の動きを全て帳消しにしました。一体何が起きたのでしょう?

先ず第一に、トランプが大統領になったことは、"世紀の番狂わせ"などと表現する人もいますが、そんなことはないでしょう。直前の世論調査でほぼ半々だった訳ですから、どちらが大統領になるのもほぼ半々の確率、即ち同じ確率だった訳で、片方がなると番狂わせで、もう片方がなると番狂わせでない、ということは決してありません。このことは、一昨日のつぶやきでも参照として引用した、今年の2月26日つぶやき<大統領選とマーケット>※にも書きました。

では次に、何故株もドル円も昨日の日本時間では売られ、アメリカ時間の途中から大きく買い戻されたのでしょう?日本の市場参加者は、トランプの政治的な、或いは扇動的な発言に気を取られ、彼の経済政策にあまり注意を払っていなかったのかも知れません。印象的に、トランプが大統領になると何が起こるか分からないので、リスクを外そう。外国人はアメリカに来るな、みたいなことを云ってるので、ドル安になるだろう。そんなイメージから株もドル円も売った。

然しながら、実際には政治的な大きな変化は起きるのに時間も掛かるし、そもそも難しく、一方常にマーケットは政治よりも経済の方が重要であって、よくよくトランプの経済政策に耳を傾ければ、景気を刺激してアメリカ経済を良くしたいと云ってる訳だし、アメリカを守ると云うことは、例えばアメリカ本社のグローバル企業の利益がアメリカにより多く還元するような施策を採ることであり、それは即ちドル買い需要であり、そう考えるとなんで株もドル円も売るのさ、となって一気に買い戻され、行って来いとなったのでしょう。

一昨日も書いたように、マーケットはオーバーシュートするものなので、行き過ぎて戻ってくるとは思っていましたが、ここまで完全に行って来いになるとは、私も思っていませんでした。それは何故なら、私もトランプの経済政策の読み込みが足りなかったのです。反省。いやーしかしマーケットって本当に奥が深いですね!
※2月26日    <大統領選とマーケット>
http://lounge.monex.co.jp/column/oki/2016/02/26.html