年の瀬にあたり、今年の外国為替相場を振り返ってみますと、何より強く印象に残ったのは「例年にも増して、2013年の相場はテクニカル分析の『教科書』に記されたセオリーに非常に忠実な値動きが見られた年だった」ということです。ことに、ドル/円の値動きは1年を通じて「ほぼ教科書どおり」であったと言うことができ、本欄のなかでも「テクニカル的な相場へのアプローチを軽視してはならない」といったニュアンスの言葉を幾度も用いたことが想い起されます。

これまで本欄で繰り返し述べてきたとおり、現在筆者が相場予想のメーンシナリオとしているのは「5波で構成されるドル/円の強気相場」です。2013年のスタートは、その「第3波」の最中にあったと考えられ、当初からその波動は比較的「長期間」に渡って、比較的「大幅」なものになると想定されていました。

他方、ドル/円の月足ロウソクは2012年10月から連続して陽線となっており、結果的には5月まで「8カ月連続」となりました。過去に幾度か「7カ月連続」となったケースがあったことから、5月以降は調整に入る可能性が高いと予想しましたが、結果的には過去最高記録を更新し、6月からの調整入りとなりました。そして、ドル/円の第3波はセオリーどおり、比較的「長期間」で比較的「大幅」なものになりました。

当時の本欄にも記したとおり、月足陽線の連続記録が過去最高に並ぶどころか過去最高を更新したという事実は、その後の調整が相当に「急激」で「長く」なる可能性があることを示唆します。結果的には、5月22日高値から6月13日安値まで一気に約10円も円高方向に振れる場面があり、その調整は「第3波」の上昇幅に対する38.2%押しの水準に近いものとなりました。そして、5月22日高値から始まった「第4波」は、これまたセオリーどおり、絵に描いたような5波構成(a-b-c-d-e)の三角保ち合いとなったのです。

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本欄の2013年10月30日更新分でも述べたように、中段保ち合いパターンの一つである三角保ち合いには自ずと「賞味期限」というものがあります。したがって、三角保ち合いが形成されて行く過程において、相場が調整局面から脱するタイミングというものもある程度は予想できるということになります。そして案の定、ドル/円相場は11月初旬に5月下旬以来の調整局面から明確に上放れることとなりました。

もちろん、最も肝心なのは「今(現在)」と「これから」です。これまで本欄で幾度も述べている通り、現在のドル/円が「第5波」の局面にあるとするならば、それは文字通り5波構成の強気相場の「総仕上げ段階」ということであり、5月下旬まで続いた「第3波」にエクステンション(延長)が生じたことから考えれば、その終点になると想定される水準までの上値余地は自ずと限られてきています。また、時間の観点から言っても「第5波」が終点に到達するタイミングはそう遠くはないものと見ることができます。

「第5波」が終了したとの感触を得た場合には、その後しばらくの間、基本的に3波で構成される調整局面が訪れるものと思われます。もちろん、そうなった場合にも筆者は本欄で大いに予想して行く所存です。とにもかくにも、このように「常に予想すること」、それが重要です。おそらく、来る2014年も今年と同様、テクニカル分析の「教科書」が大いに活躍する年となるでしょう。この1年、本欄をご愛読いただきまして本当にありがとうございました。

コラム執筆:田嶋 智太郎
経済アナリスト・株式会社アルフィナンツ 代表取締役