ふと気が付くと、蝉の声が辺り一面を既に包んでいました。私は蝉の声を聞くと、子供の頃の夏を思い出します。アブラゼミが夜中まで鳴いて、うるさくて中々寝付けなかった時の部屋の情景。蝉を捕ろうとして、よくオシッコを掛けられたこと。夏休みが終わる頃には、夕方にカナカナ(日暮らし)の声が鳴り響いて、悲しい雰囲気があったこと。

通常思い出は、匂いで想起されるものですが、蝉の声だけは、記憶を刺激し、懐かしい映像が目に浮かんできます。万葉集はあまり読みませんが、こんな歌があります。

「石(いは)走る 瀧もとどろに 鳴く蝉の 声をし聞けば 都し思ほゆ」

万葉の時代から、やはり蝉の声は思い出を惹き出すものだったのでしょう。何故だろう?短い命の中で鳴く声に、エネルギーがあるのでしょうか。季節は巡る。
マーケットも巡る。仕事も急がないといけないですね!