私にとって校長先生とは、私を叱る人、或いは私に呆れる人でした。小学校2年生の終わりには、4年後のことを聞く学校に対して、明日のことは神のみぞ知るとクラスで教わったのにそんな先のことを聞くのはおかしいと校長先生に云ったら、その場で「退学して下さい」と宣告されたし、中学校1年生の終わりには、スキー学校にウィスキーボトルを持ち込んで飲んでいたのが見つかった私は、校長室で悪友と共に学年初の始末書(校長訓戒)を渡されたし、しかしそれ以外は人生の中で校長先生との触れ合いというか関わりはなく、最近まで暮らしてきました。
それがひょんなことから母校の校長先生と話す機会を持つようになり、しかもそれが建設的で、「叱る・呆れる」とは逆向きの話の内容であるので、ふと、思えば遠くへ来たもんだというか、時が経って随分と変わったものだなぁと思うのです。このケースは、同じ人との関係ではなく、「校長先生」という種類の人との関係ですが、同じ人とであっても、長い付き合いの中で変わっていったり、充実していく関係もあります。そして本当の人間関係は、そういう関係の中にこそあるのだとも思います。大切な関係を、大切に育てていきたいものですね。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。