万一の可能性が取りざたされた米国債の債務不履行(デフォルト)はギリギリのタイミングで回避され、ようやく米議会での財政協議も一応の合意に至りました。とはいえ、今回の合意はあくまで暫定的なものであるうえ、先行き不透明感からFRBが量的緩和の規模縮小を開始する時期がこれまでの想定より先延ばしされるとの見方が強まっていることもあり、ドル/円相場においても5月下旬からの調整局面を抜け出したという感触が、いまだハッキリとは得られない状況にあります。

もちろん、下の図にある「月足ロウソク」の推移を見ても分かるように、昨年10月から今年5月までの上昇が過去にあまり例を見ないほど急激であったために、足下である程度の調整が続くことはやむを得ないという見方もできるでしょう。なにしろ、この間の月足ロウソクは「8カ月連続で陽線」となり、過去に幾度かあった「7カ月連続で陽線」を超える新記録を達成したのですから(本欄の2013年6月5日更新分参照)。

なお、8カ月連続の「陽線」となった今年5月の月足ロウソクは、比較的長めの上ヒゲを伸ばす格好となり、同月の終値は一目均衡表(月足)の「雲」上限を辛うじて超えるかどうかという水準でした。そして、以降は先月(9月)までずっと月の終値で月足の「雲」上限を上抜けることができない状態が続いています。

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振り返りますと、近過去においてドル/円の月足ロウソクが7カ月連続の「陽線」となったのは、上図に見るとおり2000年9月から01年3月までの間でした。その翌月=01年4月に「陰線」となってからはしばらく(8カ月間)調整含みの展開が続き、調整入り前の01年3月終値を上抜けるのは01年12月に入ってからのこととなりました(図中の青点線に注目)。ちなみに、当時の調整は「中段保ち合い」と言われるパターンで、保ち合いを上放れてからは調整入りする前の基調に戻り、後の02年2月には135円台の高値をつけるに至っています。

では、今年6月からの調整の行方はどのように見たらよいでしょうか。まず、調整期間は現在5カ月目に入っており、11月あたりからは月足の「雲」上限がグンと下方に降下してきて、比較的上抜けしやすい状況になるものと見られます。また、5月高値からの調整はトライアングル(=三角形)になっており、これも一種の「中段保ち合い」のパターンであるものと思われます。

ちなみに、02年2月に135円台の高値をつけて反落したドル/円が05年1月に101円台の安値まで下押しし、反発して次に主要な高値をつけたのは07年6月のことでした(図中の赤点線)。このときの124円台というのは、02年2月高値から05年1月安値までの下げに対する61.8%戻しの水準です。この戻り率を、07年6月高値から11年10月安値までの下げに当てはめると、いずれはドル/円が105.50円あたりを試す展開になると想定することもできるものと思われます。なお、同水準に向かう過程では月足の「遅行線」が「雲」上限を試す展開となることも想定されます。よって、今後も時折、月足ロウソクの推移と一目均衡表(月足)の「雲」や「遅行線」との関係に注目してみることをお勧めします。

コラム執筆:田嶋 智太郎
経済アナリスト・株式会社アルフィナンツ 代表取締役