本日(5月22日)の日本時間23:00から、バーナンキFRB議長は米上下院合同経済委員会において議会証言に臨むこととなっています。この2週間ほど、市場では米景気の回復期待やFRBが早期に緩和策の出口戦略に着手するとの見方が強まっており、結果としてドルが全面的に強含むといった展開が基本的に続いていました。しかし、本日の議会証言においてバーナンキ議長が出口戦略に対して確固たる指針を打ち出さなければ、一旦はドル全面高商状も一服するものと見られています。

仮にこのところ続いてきたドル高が一服するならば、5月初旬から下落基調にあったユーロ/ドルも一時的にはある程度値を戻す動きとなるでしょう。そして、そこはユーロ/ドルに戻り売りを仕掛ける好機になるのではないかと筆者は考えます。もちろん、バーナンキ議長が出口戦略について積極的な姿勢を見せたならば、それこそユーロ/ドルは売りということになります。そうした意味で、本日の議会証言の内容と市場の反応からは目が離せません。

下の図にも見る通り、ユーロ/ドルは今年の4月16日高値と5月1日高値を2つの頂点とする「ダブル・トップ」のフォーメーションを形成し、そのネックライン(図中青点線)を5月14日に割り込みました。つまり、ダブル・トップの完成です。同時に、その時点で一目均衡表(日足)の遅行線は日々線を割り込み、言わば「三役逆転」の弱気シグナルが灯ることとなりました。5月17日には一時1.2800ドルを割り込む場面も垣間見られましたが、その後はやや値を戻す展開となっています。これは本日の議会証言を控えて、一部の投資家がユーロ売りのポジションを一旦整理したことに拠るものと推察されます。

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ここで、あらためてユーロ/ドルの価格推移を眺めてみると、昨年の9月初旬あたりから「ヘッド・アンド・ショルダーズ・トップ」=三尊天井のフォーメーションを形成しているように見られることがわかるでしょう。そのネックラインは、昨年12月13日安値と今年4月4日安値を結んだ直線(図中赤点線)です。こうして見ると、5月17日に一旦1.2800ドル割れのところで下げ止まったのは、一つの節目に達したこともありますが、同時に三尊天井のネックラインに近付いたからであると考えることもできそうです。

仮に逆三尊が完成した場合、それが強い下落基調へと発展しやすいことは過去の数多くの事例で明らかになっており、たとえば本欄の2012年4月18日更新分で示した、やや小さめの逆三尊が完成した後の展開でもハッキリと見てとることができます。少し気は早いかもしれませんが、今後ユーロ/ドルが前述したネックラインを明確に下抜けると、それ以降はやはり相当に強い売り圧力がかかるようになるものと考えられます。

まずは、今年の4月4日安値、昨年の12月13日安値などが目先の下値メドと言うことになるのでしょうが、少し長い目で見た場合には、昨年7月24日安値=1.2042ドルが意識されるようになってもおかしくないものと思われます。

コラム執筆:田嶋 智太郎
経済アナリスト・株式会社アルフィナンツ 代表取締役