4月が終わり、ドル/円の月足は「7ヶ月連続の陽線」と変動相場史上で過去に3回のみ確認される"記録"に並ぶこととなりました。この5月は「8カ月連続で新記録達成」と行きたいところではありますが、ここ数日のドル/円が少々軟調に推移していることも事実です。振り返れば、4月に発表された一連の米経済指標には、どちらかと言うと冴えない内容を示すものが目立ちました。昨日(4月30日)発表された4月のシカゴ購買部協会景気指数も49.0と約3年半ぶりの低水準に落ち込み、市場の一部では米景気のソフトパッチ(ぬかるみ)懸念も取り沙汰されています。
これまで本欄では「4月半ばあたりまでの時間帯のどこかで一旦、ドル/円が主要な高値をつける可能性」に注目してきました。つまり、昨年(2012年)9月安値を始点とする強気相場を「第3波」とした場合、その「終点」が到来するという見立てです。そして、本欄の2013年4月3日更新分では「想定より早めだが、3月12日の高値が第3波の終点であった可能性もある」と述べています。結果的には、4月4日に日銀が発表した『異次元緩和』のサプライズによってその可能性は否定されましたが、後につけた4月11日の高値=99.95円は、まさしく日柄的にも水準的にも第3波の終点とすることに違和感のないものと見ることができます。
下の図は、本欄4月3日更新分で用いた図にその後の推移を加えたもので、仮に4月11日高値=99.95円が第3波の終点であったとした場合、第4波の調整余地=下値メドはどの程度になるのかを予想しようとするものです。まず言えることは、やはりこれまでドル/円の下支え役となってきた21日線ならびに40日線との位置関係に注目すべきであろうということで、図に見るように目下は21日線を下抜けた状態にあります。したがって、今後は40日線を明確に下抜けるかどうかが焦点となり、仮に同水準を明確に下抜けた場合には、96円前後の水準にある一つの節目(桃色の太線部分)が注目されることとなります。
この96円前後の節目には4月16日の安値などが位置しており、同時にこれは「ダブルトップのネックライン」と見ることもできます。ダブルトップは転換保ち合い(基調転換の前に現れる保ち合い)パターンの一つであり、そのネックラインを下抜けることは後に調整色が強まることを意味します。もちろん、そのような状況になれば、いよいよ一目均衡表(日足)の遅行線が日々線を下抜ける可能性も高まります。以前から本欄でも述べているように、遅行線は「最も重要」とされています。結果、一段と調整色が強まった場合には、一目均衡表の日足「雲」も意識されやすくなりますし、その下方には4月2日安値の92.57円や昨年9月安値から4月11日高値までの上げに対する38.2%押し=91.23円などといった節目もあります。
本日(1日)は米4月のISM製造業景況指数やFOMC声明、米4月のADP全国雇用者数などの発表が控えており、週末3日には4月の米雇用統計も発表されます。これらの結果次第では、あらためてドル/円が100円の大台挑戦となる可能性もありますし、逆に結果次第で「第4波局面入りの可能性」が濃厚となることもあり得ます。よって、今週は各種指標やイベントの結果を慎重に分析し、適切な判断を心掛けましょう。
コラム執筆:田嶋 智太郎
経済アナリスト・株式会社アルフィナンツ 代表取締役