前回(2012年11月28日)更新分で注目したシカゴ通貨先物市場における投機筋の円売り越しは、11月27日時点で7.9万枚にまで膨らんだことが明らかとなりました。これは、ドル/円が84円台前半まで急騰した2012年3月の水準を超え、過去のピーク時の平均をも大きく超えていることから、ある意味でドル/円相場が「新たな局面を迎えた」と考えることができるものと思われます。
ただ、目先は積み上がった円売りの巻き戻しが生じるとの懸念も強まりやすく、まして目下の市場で最大の関心事となっている米財政協議の行方も不透明であることから、ここは一時的にもドル/円が調整含みの展開を余儀なくされてもおかしくないところです。
今週末(12月7日)には11月の米雇用統計が発表されることとなっており、ハリケーン「サンディ」の影響で想定以上に弱い結果が示される可能性もあります。また、週明けの12月11-12日にはFOMCが開催され、あらためて大胆な金融緩和策が打ち出される可能性も囁かれていますから、目下はドル買いに積極的にはなりにくい...。
では一体、どの程度まで当面の調整を見込んでおけばよいのでしょうか。下の図でも確認できるように、まずは直近(11月28日)安値の81.69円が一つの下値メド。これを下抜けると、9月13日安値から11月22日高値までの上げに対する23.6%押し=81.50円あたりが意識されやすくなるものと思われます。
また、前述した米雇用統計やFOMCなどで少々インパクトの大きなドル売り材料が飛び出した場合は、現在下方から上昇してきている21日線を試すこととなり、さらに同水準を下抜けると38.2%押し=80.65円を一時的にも試す可能性があるものと考えておくことが必要でしょう。
なお、過去に本欄で幾度か述べているように、ドル円の80.55-65円という水準は5月16日高値や6月25日高値、11月2日高値が一旦上値を押さえられたところであり、非常に重要な節目の一つです。また、数日後には同水準に10月11日安値や11月9日安値などを結ぶサポート(下値支持)ラインが上がってきます。
もちろん、足下でドルの上値を押さえている米財政協議は「土壇場で一定の合意に達する」というのが市場のコンセンサスであり、大きな流れとしてのドル/円相場はなおも強気継続と考えていいでしょう。
本欄の2012年11月21日更新分で注目した11月の月足ロウソクは、ついに実体部分で31ヶ月線を上抜けました。過去に同様の事例は、なんと2005年6月にまで遡ります。それだけ大きな変化のサインと見做される可能性があるわけです。
また、あらためて上の図をみると、21日線、89日線、200日線はすべて上向きとなっています。これも一つの強気のサインです。さらに今後、89日線が200日線を上抜けると、上から21日線、89日線、200日線という順番になり、これをもってパーフェクト・オーダー(完璧な順番)が完成となります。これは、一段と強気のムードを表すサインとなりますから、今後は各移動平均線の位置関係にも注目しておきましょう。