日経平均とかTOPIXとか、インデックスなるものが世の中に存在しますが、これとても重要なのです。日本の機関投資家のほとんどは、少なくとも金額的に云うと大変大きな部分は、いわゆるパッシブ・インベスター=インデックス投資家です。自らが運用するポートフォリオがインデックスと同じ運用成績になるように、或いは少しだけでもそれを上回るように運用するのが仕事です。そうすると、細かい巧拙はあるものの、大きなお金の流れを変えるには、機関投資家のことを語るよりも、インデックスをいじることの方が、遙かに効率的で効果があることが容易に想像されます。
果たして、日本もそれを行いました。いや行いつつあります。東証と日経新聞が共同開発したJPX日経インデックス400は、簡単にザックリ云うと過去3年間のROEが高い順に400銘柄ほぼ客観的に選んで作るインデックスです。政府は公的年金・GPIFの運用のベンチマークの一部をTOPIXからJPX400に変えようとしています。GPIFがシフトすれば、他の多くの機関投資家もその運用ベンチマークを部分的にJPX400に追随シフトしていくでしょう。そうすると、日本の機関投資家は、インデックス投資家で居続けつつも、客観的にROEベースで入れ替えられる銘柄を先取りして探す、或いはインデックスに入っている企業に対してROEを下げないようにプレッシャーを掛けるかも知れませんから、全般に上場企業側でもROEを上げようとする機運が高まりやすくなります。実際にJPX400に入れなかったことを悔しがって、配当や自社株買いを大幅に増やす決定をした会社もあります。ROEを上げるためには、その計算の分母を小さくするのが即効力があるからです。
分母を大きくしている一つの理由は、日本の企業が膨大な内部留保を蓄えていることです。世界的にはこのことが大問題となっており、アベノミクスの次の一手は、成長戦略と共に、この100兆とも200兆とも云われる内部留保、眠れる現金をアンロックするか-即ち配当で払うか、自社株買いするか、設備投資に回すか-が問われています。JPX400という仕掛けは、この大問題を解く鍵となり得るのです。
今日のJPX日経400の引け値は、11,192.47でした。あまりピンと来ませんね?それはテレビ局も新聞も、未だに日経平均とかせいぜいTOPIXしか云わないからです。JPX400の推進は、国策だと思います。テレビも新聞も雑誌も、そして証券会社も、JPX400をもっともっと喧伝して、インデックスと云ったらJPX400しか語らないようにすることが、延いては国内のお金の巡りを良くし、経済を強くし、株価上昇と配当増によって私たちの年金資産を増やすことに繋がるのではないでしょうか。もっともっとJPX400を盛り上げましょう!