今日はちょっと息を抜いた話を書きたいと思います。私は美術館が好きです。時間がなくてそんなに頻繁に行けませんが、それでも尚、かなりの回数さまざまな美術館を訪れてきました。網羅的に作品を揃えている大きな美術館も悪くありませんが、私は集めた人の趣味が滲み出る小型の美術館の方が好みです。この趣味は色々なところに通じていて、例えば詩集でも全集よりもアンソロジーが好きだったり、食べ物屋でも何でもあるよりも、店の主の趣味が強く出たセレクションの店の方が好きだったりします。いや、正確に云うと、趣味の確かな人を見つけて、その人の趣味に選択を任せた方が、自分が専門分野でないところでいいものに出会えるし、或いは安心だと感じてそういう行動を取ってきたのかも知れません。
アメリカではニューヨークのフリック・コレクションが断トツに好きで、何度も何度も、見に行くと云うよりは五感を休める・五感のメンテナンスに行くと云うような感じで、時に短く、時にボーッとしに行きます。イザベラ・ガードナーという良い小さな、これもフリックと同様アンソロジーのような美術館がボストンにあったのですが、こちらは何年か前に出火してしまいました。今はどうなっているのでしょう。
日本に来る海外の美術館展も、中々驚きの素晴らしいものがあります。今、国立新美術館で開かれている、フランス国立クリュニー中世美術館所蔵「貴婦人と一角獣展」などはまさにその最たるものかも知れません。まさに中世ヨーロッパの至宝。パリに行く人は多くても、クリュニー美術館に行く人は少ないのではないかと思うのですが、このタピスリーは秀逸です。私もうっかり最近までこの美術展のことを知らなかったのですが、終わる前に必ず行きたいと思います。