昨日はアベノミクスの中で円安が起きている理由などを書きましたが、では日本にとっての"インスタント競争力"である円安を、国際社会はどう見ているのでしょうか。通常であれば一国の通貨安政策は、すぐさま批判されるものです。しかし今回は、そもそも昨年10月の東京で開かれたIMF総会の時に、円は10%ほど過剰評価されている(円高)であるとIMFが云いました。国際金融社会が一国の通貨安にお墨付きを与える。これは異例のことです。アメリカはどうでしょう?これだけ一気に円安ドル高になれば、かなりのブーイングが飛んでくるものですが、今回は全く聞こえてきません。やはり急速に強くなりすぎた国・中国に対する警戒心から、日本が今ある程度競争力を回復することを容認しているのでしょうか。ドイツのメルケル首相は少々円安批判をしていますが、元々欧州危機の中で安くなったユーロの恩恵を莫大に受けてきたドイツからの発言なので、皆あまり真剣に耳を傾けているようには見えません。こうした特殊な事情が、国際社会が円安を許容することを演出しているように見えます。
では日本はいくらまでの円安を目標としているのでしょうか?円安は進めば進むほど日本にとっていいことなのでしょうか?ここで気になるのはエネルギー問題です。原発事故以来、日本のエネルギー供給体制は大きく輸入に頼るようになり、他国に頼るという不安定さと円安によるコスト高に晒されています。この問題を解決しない限り、少なくとも青写真を描き切らない限り、円安が進んでいると様々なところでコストが増え、何よりも不安が増えるでしょう。この青写真をどうするかが、今後の円安の行方、ひいては日本市場の未来に大きな影響を及ぼしてくるのではないでしょうか。また長くなってきたので、このエネルギー政策青写真のこと、そして日本国債のことなどは、次回以降にまた書きたいと思います。