バブルとは何でしょう。このことを考える時、私は鴨長明・方丈記の書き出しを思い出します。
「行く河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。淀みに浮かぶうたかたは、かつ消え、かつ結びて、久しくとどまりたる例(ためし)なし。世の中にある、人と栖(すみか)と、またかくのごとし。 」
このうたかた、即ち泡が、バブルです。出来たら消えてなくなるもの。長明が書くように、人間と世の中に共通する、普遍的な現象です。バブルは出来たら消える。世界が強烈な金融緩和競争をし、日本もそれに正式参加した訳ですが、その先にあるもの、実体経済と金融経済のギャップはいずれ価値調整が行われるのか、バブルはいずれ弾けるのか、といった疑問をまま聞きます。
バブルは弾ければ痛みが走ります。必要以上のコストを払わなければいけなくなることも多くあります。そこで考えられるもうひとつの出口が、或る意味でインフレなのではないでしょうか。ギャップを局地的に埋める替わりに、全体のプライシングを変えて、薄く広く痛みを担ぐ。学問的に正しいかは分かりませんが、現象で見ると、インフレとはそのような効果があるように思われます。
世界は今、一つの流れとして、近年のバブル調整による痛みが大きかったので、それを避けてこのような方向に行ってるのではないでしょうか。であれば、当面はインフレ資産を手にしないと価値の防衛が出来ません。そしてこれがまた、世界的な色々な紛争や事件も引き起こすかも知れないという不安はあります。インフレ。いずれにしてもこれが当面のテーマであることは間違いないと思います。