皆さん御存知のように、今年の築地の初競りでは、222キロのまぐろがキロあたり70万円、なんと1億5540万円で落札されました。落札したお鮨屋さんは、このまぐろを高く売る訳ではなく、通常通りの値段で供したとのことで、この部分だけを見れば明らかな赤字です。宣伝・広告のために落札したとか、様々な理由が云われていますが、私はこの"値段"と云うものだけに着目したいと思います。
値段は価値か?儲けることが価値とは云いませんが、或るモノを買う場合にはそれでそのモノ自体で儲かるか損するかは何かしらの意味でそのモノの価値と関係がある筈で、そう考えるとモノの価値と値段の関係は乖離している、或いは乖離し得ると云えます。宣伝と云う副次的な効果を考えても、そのような効果は他のモノを使っても可能だったと思われ、そう考えると副次的効果まで考慮しても、モノの値段はモノの価値から離れ得ると云うことになります。
値段とはお金の現象である。株価然り、デフレ・インフレ然り。なべてモノの値段はお金の現象です。お金が向かう所、お金が向かった時に、そのモノの値段は上がるのです。今回の初競りのことを聞いて、釣り上げた漁師さんをお祝いしたい気持ちになると共に、今年の日本の値段現象を占う事柄のように思えるのでした。