どうして円高は止まらないのか。人口が減っている。高齢化も進んでいる。財政問題も抱えている。どう考えても日本の将来は、中国その他の世界のライバルと比べて、そんなに明るく見られていないと思われるのですが、それでも円は買われる。何故でしょう?

長い将来の日本の姿など、流動性の高い円の動きには関係ないのです。もし今、円/ドルの買い持ちか売り持ちのポジションを作って、それを20年後にしか反対売買できないと云われたら、円を買う人は少ないでしょう。為替市場、特に円/ドルなどには強烈な流動性がありますから、今ポジションを作っても、極端に云えば1秒後に反対売買が出来ます。円/ドルのトレーディングに長いヴィジョンなど関係ありません。

翻って、例えば発展途上国の未公開会社や不動産など、反対売買が簡単にできない、売買の値段差が大きい、即ち流動性がとても低い場合には、長いヴィジョン、ヴューがなければとても投資など出来ません。流動性のないものは長いヴューで売買、流動性のあるものは短いヴューで売買、為替の場合はヴューがなければ実質金利の高い所に取り敢えずお金を置くだけです。

短期的なヴューと長期的なヴューが違うこともままあります。その場合、流動性のあるなしによって、トレーダーによって取られるアクションは全く反対である可能性があります。流動性の見積とは、トレーディングや投資にとって斯くも大切なものであります。