一昨日書いたSさんのお店。果たして、昨晩なんとかねじ込んで頂きました。凛とした雰囲気。以前通りです。先ずはにこごり。お酒は超特・三千盛。そしてわかめの上に大葉が二枚敷かれ、横にみょうがの添えられた皿に、平目の刺身と縁側。次は鰹。平目の子と白子の煮付けと思われる小鉢。鰹の砂ずり(おなかの部分ですね)を軽く焼いたものにすだちを添えて。普段は基本的に鮨しか握らない親父も、今週で閉店とあって大盤振る舞い。機嫌もいい。
そしてここから鮨。先ずは平目。づけ。中とろ。浅めの江戸前とでもいいましょうか、仕事をしてはいるがし過ぎていない絶妙の、店の雰囲気に合った正に凛とした感じの鮨。親父は相変わらずやたら仕事が速く、次から次に片付けていく、まるで道場で稽古を付けられているような雰囲気。いわし。ゆでえび。うに。青柳。鳥貝。こんな美味いの(鳥貝の鮨)食ったことない!と思わず小さな声が漏れる。そしてコハダが出て鮨は終わり。ちょっと間があいてべったら漬けが一切れ。
隣の客と話す中で、親父の「うしろ向くのはだいっ嫌いだ」との発言。どうやら心臓病が発覚して店を閉めることにしたが、夏には治るそうで、ならば折角のいい店なのでまた続ければ?との客の問いに対して発せられた言葉のようでした。Sさんらしい整理の仕方だと思いました。
芝えびの打ち込まれた玉子焼き、かんぴょう巻きを食べて終わりかと思いきや、珍しくすいかが出てきました。鮨だけ握って59年とのこと。本当に美味しかった。Sさんの最後の鮨を食べることが出来て、幸せでした。一番印象に残ったのは、鳥貝の味と、うしろ向くのはだいっ嫌いだと云う親父の言葉でした。