前々回の本欄では「FX取引はトレンド・フォロー(=順張り)が基本」とし、その一例として「ドル/円が80.00円近辺まで下落してきたからといって、逆張りの発想で買いに入るのはリスク」と述べました。そして案の定、その後のドル/円は80.00円をあっさりと割り込み、一時的にも78円台半ばまでの下落を見ることとなりました。その背景には「いまだドル/円の下降トレンドが明確に転換したわけではない」という動かしようのない事実があります。

このトレンドを「見える化」するためには、まず自身でチャート上にトレンドラインを引いてみることが有効です。上昇トレンドと見られるときには、過去の主だった2つ以上の安値同士を直線で結ぶ下値抵抗(=サポート)ラインを、下降トレンドと見られるときには過去の主だった2つ以上の高値同士を直線で結ぶ上値抵抗(=レジスタンス)ラインから引いてみるというのが基本となります。

ここで、過去6カ月程度のユーロ/ドルのチャートを用意し、そこにトレンドラインを引いてみましょう。最近のトレンドは明らかに下向きです。よって、2011年5月4日高値と2011年7月4日高値という主だった過去の高値同士を直線で結んでみます。これが前述したレジスタンスラインであり、今後ユーロ/ドルが一定の戻りを試す動きになったとしても、このラインが上値を押さえる可能性が高いと考えます。

【チャートはこちらでご覧ください】

→ http://www2.monex.co.jp/html_mail/mkt/monexmail/20110720/monexmail_fx.pdf

ここから、さらに「見える化」を進めるために、先に引いたレジスタンスラインと平行する直線を過去の主だった安値である2011年5月23日安値が位置するところに引いてみます。これはアウトラインと呼ばれ、このアウトラインとレジスタンスラインに挟まれたゾーンを「チャネル」と呼びます。つまり、現在のユーロ/ドルは2011年5月4日高値を起点とする「下降チャネル」を形成しているものと見られ、今後しばらくは同チャネル内での上げ下げを続けるだろう(=レジスタンスライン近辺では上げ渋り、アウトライン近辺では下げ渋る)と判断するわけです。この場合、アウトラインはサポートラインとして機能することが少なくないということでもあります。

もちろん、上昇トレンドを辿っていると見られるときには、逆にサポートラインを先に引き、平行するアウトラインを引いてみることで「上昇チャネル」が形成されているかどうかを確認します。今後の投資判断において一つの参考となれば幸いです。

田嶋 智太郎

経済アナリスト・株式会社アルフィナンツ 代表取締役