● 週末のNY市場以降、世界の株価下落が続いている。「金融危機」を彷彿とさせるが、これまでの金融危機で見られたような銀行等のクレジット市場の反応は殆どみられない。

● 銀行株も市場平均並みに下落している。しかし、金利の上昇は銀行の業務上はポジティブであり、前回の危機時と異なり、銀行は財務的に堅固。本来的には株価下落への耐性が高い。

● このため、動揺が収まれば、銀行株にはリバウンド力が強いと考えられる。但し、当面の株式市場リスクのヘッジを考えるなら、高利回りのバンクキャピタル・ファンド(銀行のハイブリッド債を組み合わせた投信等)などに一部の資金を移動させることも検討したい。

金融危機と異なる銀行CDSの動き

株価暴落が2日目に入った。しかし、昨日「グローバル・マクロウォッチ」で触れた通り、株価の下落を横目に、高リスク債の信用力(クレジット)市場や新興国国債市場は引き続き冷静である(図表1-1、1-2)。

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また、銀行のクレジットを表す劣後CDSも株価暴落後も概ね安定している。金融不安・金融危機下では、銀行の信用力の悪化がつきものである。これに対して今回は、銀行のクレジットにはまだ殆ど反応がない(図表2-1、2-2)。

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これは、やはり今回の株暴落が金融危機とは異なることを表すとともに、過去とは違い、市場が銀行の財務力を信頼していることを示す。

当面の銀行株の見通し

銀行株もこれまでのところほぼ市場平均並みに下落している。しかし、本来インフレ率上昇や金利の上昇は銀行の業務上はポジティブである。前回の金融危機時と異なり、殆どの銀行は資本比率も向上しており、不良債権比率も大幅に低下しているなど、財務力は史上最高となっている(図表3)。

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このため、市場の動揺が収まれば、銀行株にはリバウンド力が強いと考えられる。特に、インフレ、経済成長、減税恩恵等の期待があり、金利も上昇基調の米銀については、株価の回復力が強いだろう。
但し、当面のリスクをヘッジしたいと考える場合、高利回りのバンクキャピタル・ファンド(銀行の資本性証券を組み合わせた投信)に一部の資金をシフトすることは一考に値するだろう。バンクキャピタルは、一部で利益確定の売りはみられるものの価格は比較的安定しており、分配金等も高いものが多いためである。