HP12Cとは何でしょう?R2D2のようですが、ロボットではありません。ヒューレット・パッカード社の電卓の名前です。今から20年以上前に大学を卒業して金融業界に入ってから、私がずっと使い続けている電卓です。私だけではなく、少なくともウォール街の一部では、誰もが使っている電卓です。しかしその一部コミュニティ以外では全く使われていません。
債券を中心とした投資銀行業界用専門に作られた電卓で、関数電卓ではありますがボタン数も少なく、一見シンプルなのですが使ったことのない人には全く使い方が分からない、しかし使える人にはちょっとプロ意識をくすぐる、そんな一品です。債券などのキャッシュ・フローの分析には、強力な便利さと能力を発揮します。実は簡単なプログラミングも出来ます。四則計算からして特殊な入力ルールがあるのですが、使い込むと強烈に効率的に計算が出来、かなりマニアックな計算も可能です。
加えて或る特殊な用法もあります。8センチ×12センチほどの小柄なサイズなのですが極めて頑強な造りで、トレーディングなどで頭に血が上ると、「ガッデム!」と英語が出来る人も出来ない人も意味が分かるような分からないような奇声を上げて、強く握って机などに思いっ切り叩き付けることが出来ます。そうしてストレスを発散するのです。しかし決して壊れることはありません。替わりに手に怪我をします。まぁ私の場合最後に叩き付けたのは、もう15年ほど前のことではありますが。そんな計算機を、今でも愛用しています。
計算機という無味乾燥な道具に、ここまで愛着を持つのもおかしな話ですが、恐らくこの現象は私だけに起きていることではないでしょう。実は『お客様感謝Day2010』でも、私からの(大して高いものではありませんが)スペシャル・プレゼントとして、提供しようと考えています。プロの道具っていいですよね♪HP12Cよ永遠なれ!