金曜日に北京を出て、中国最南端の街、三亜に行きました。国際会議(のようなもの)に出るためですが、中国にビジネスを展開していこうとする中で、有益な人脈作りと情報の摂取に役立ちました。2年前初めて訪れた時も、その"中国離れ"したマテリアルな雰囲気にびっくりしたのですが、その傾向はこの2年間で更に何倍も加速した感があります。

ホテルはまるでハワイのホテル、もしくは(あまり行ったことはありませんが)旧フランス領の南国リゾート地のホテル。エントランスの造りもゴージャスですし、部屋の中の設備も完璧です。インターネット、テレビ、ベッド、シャワー、空調、その他モロモロ。とにかく快適。日本のホテルよりも進んでいるのではないかと思えるほどです。食べ物も随分美味しくなりました。英語を喋る人が多い。ダウンタウンに行くとビルがボコボコと建設中です。海の中に高層ビルが何本も建っていくような風景はまるでドバイのようです。聞いた話であり、特に期間について定かではないのですが、この5年間ほどでアパートの値段は7倍になったとのこと。

会議には多くの"MNCヘッド"と呼ばれる人たちもいました。MNCヘッドとは、マルチ・ナショナル・カントリー・ヘッド、即ち多国籍企業の中国担当責任者という意味です。多くはアメリカに留学した中国人であり、また多くは中国語を話す欧米人でした。しかし日本人も、日本の企業も、全くの皆無でした(当社のみ)。韓国の大企業であるサムソンはその売り上げの3分の1を中国で上げると云います(会議の参加者の発言なので、間違いがある場合は御容赦下さい)。サムソンでは3時に通常業務を終えさせ、その後は何語でもいいから外国語を勉強させるそうです。そして韓国以外の国でのビジネスの展開に結びつけようとしているのです。

日本がかつて世界に進出して"エコノミック・アニマル"と呼ばれた頃から、世界は日本に対して"内需"が重要である、"内需"を伸ばしてくれと何度も何度も云ってきました。それは日本に対する牽制球だったのでしょう。しかし日本はそれを聞いてしまった。未だに日本は輸出大国ですが、"輸出"という勘定に表せない海外進出で、日本は大きく遅れてきている感じがします。ドバイのように栄えていく(ほぼベトナムの領域に存在する)中国の南の端(蘇軾が島流しにあった場所です)の街と、そこに集まる商魂たくましい日本人以外の世界中の人々と、そして英語を話す元気な中国人を見て、"内需"という罠にかかった日本のことを思わずにはいられませんでした。