カメラのさくらやがなくなるそうです。ベスト電器は業績低迷のさくらや全店(首都圏中心に15店舗)を2月末までに閉店するとのこと。う~ん、なんとも懐かしいと云うか寂しいと云うか。

思い起こすこと四半世紀(以上)前。大学入学時に1年分の学費・小遣い・その他を親から貰った私は、いい気になって前期中に全て使って(飲んで)しまったのでした。このままでは後期授業料が払えないと分かった私は、大学1年の夏、いくつかのバイトを転々としました(含む、団地に行って一軒一軒訪問して"ほっけ"などのおつまみを売ってささやかな歩合を得るバイトなど)。しかし元写真部でカメラに詳しかった私は、結局新宿のヨドバシカメラ西口本店でのバイトに落ち着きました。

職場は1階コンパクトカメラ売り場。当時のヨドバシカメラ西口本店1階といえば、全国のコンパクトカメラ販売台数の実に数%を売っていたと思われる(売り場の主任からは10%と説明を受けていました)凄まじい場所です。軍隊のような規律と緊張感の中で、私は朝から晩までカメラを売りまくりました。当時の個人月間販売台数の記録を作った(正確には、作りかけた)ほどです(何故"作った"ではなく"作りかけたほど"かは、話すと長くなるのでここでは割愛します)。

その仕事の中で、たまにあるスペシャルミッションが、「さくらやに行って、いくらまで値引きするかを確認してくる」という仕事でした。私服に戻って東口のさくらやに行く。そのあとに池袋のさくらやに行く。過酷な職場から離れるのは楽しい仕事のようですが、そうではありません。適当な値引きしか引き出せないで帰ってきても、役に立たない情報だとして怒鳴られます。もちろん本当に買う訳ではないので、、中々ギリギリの値引きは引き出せません。さくらやの店員と話しているうちに、その値引き交渉のしつこさや、値引きのネタの詳しさから、他店からのスパイだと感づかれると、その瞬間に店員の態度は変わり、全く無視されます。それでも話し掛けると警察に突き出すと怒鳴られます。しかしそのまま帰るとボスに怒鳴られます。

仕事の厳しさ、ビジネスの"競争原理"というものを学んだ鮮烈な現場です。私の仕事人としての原点かも知れません。そのさくらやがなくなる。なくなる前に、久し振りにギリギリの値引き交渉行ってこようかな♪