日本の個人投資家はリスクが取れるのか?と外国の人に聞かれます。ちょっと待って下さい。日本の個人ほど自国通貨以外の資産を直接持っている国民を私は知りません。そもそも現代の形に近い「先物」と云うものを史上初めて作ったのは日本の商人(堂島の米市場)と云われています。これはシカゴの先物取引所の展望ルームにある「先物の歴史」にもそう書いてあります。
次に国内に於いては、様々な場面で、日本の個人投資家は投資が下手であるとか、或いは投資のことを良く知らないと云われることがあります。ちょっと待って下さい。日本の個人投資家は、世界的に見ても、国内の機関投資家と較べて見ても、非常に賢い投資家だと思います。ではそのことを証明してみましょう。
日本で不動産バブルが起きた時、家計(個人の総体)はバブルのピークで不動産を売り越しました。勿論ピークで買ってしまった人もいるでしょう。或いは銀行や地上げ屋が無理矢理買ったからだと云う見方もあるでしょう。しかし事実として、マクロ的に見ると家計は売り越しているのです。世界の歴史の中で、様々な国で、色々なバブルが起きました。オランダに於けるチューリップ・バブル、云々。そしてそれら全ての世界史に於いて、家計はピークでバブル資産を買い越しているのです。約20年前の日本人だけが、バブルの頂点で資産を売り越しているのです(買ったのは銀行です)。
そして売ったお金を個人はどうしたか?株も買わず、外貨も買わず、円預金・貯金をしました。その後株は大きく下がり、円は強くなり(外貨は安くなり)、
金利は下がり(預金・貯金の価値は上がり)、結果で見ると世界に於けるベスト・パフォーミング・アセットに、日本の個人は不動産からお金を移したのです。損をしたのは銀行を始めとする機関投資家です。これでどうして日本の個人投資家が投資下手だとか投資を知らないと云えるでしょうか?日本の個人は、マクロ的に見ると、生粋の投資上手なのです。
個人投資家は何も知らないから、何から何まで守らなければいけないと云う論調も、そのような論を云う人は、自分の知識や経験と、日本の個人投資家全体の実績を照らし合わせて、冷静に何を云っているのか顧みる必要があります。日本の個人投資家は、とても賢いのです。次回はそのように優れた個人が、どうしてあまり株を買わないのかについて考えたいと思います。