民主主義と資本主義は、人類が編み出した2つの偉大な仕組みで、それらは不完全ですが、これらよりいい政治の仕組みも経済の仕組みもない、と云うのが通説でしょう。そしてこれらの仕組には、その良さを「忘れやすい」と云う共通する性格があります。

資本主義の生みの親である英国では、かつてはサッチャーが people'scapitalism と称して、国営企業の民営化の際になるべく多くの国民にその株式を所有させ、資本主義を忘れさせないようにと考えました。
ブレアの考え方にも共通点があり、その結果(とは云い切れないまでも)、英国は資本主義のメリットを決して忘れず、常に資本主義世界での覇権を取ろうと云う熱意と根性があり、一旦は米国に持って行かれた多くの金融ビジネスを、近年随分取り戻しました。

現代型民主主義の生みの親である米国も、やはり民主主義の良さを忘れさせないための工夫を色々としているようです。当グループの米国子会社社長から聞いた話によると、小学校がプロジェクトで先ず生徒に大統領宛てに手紙を書いて出させる。するとホワイトハウスのレターヘッドで、オバマ大統領から直接サイン入りの手紙が返ってくる。当然のことながら生徒は感動する。と云ったことが行われているとのこと。サインは精巧に作られたコピーでしょう。或いは現代技術なら、オバマの右手ロボットが実際のペンですらすら書くことも出来るかも知れません。いずれにしろそれなりの人員とコスト、何よりも熱意をもって、斯様なプロジェクト・仕組みは運営されているのでしょう。当然手紙の文面は、「先祖から貰った『自由』と云う贈り物を、君の助けを借りて、一緒に未来の世代に引き継いでいこう」と云う一文で締めくくられています。立派なものです。

資本主義と民主主義の生みの親であるこの2国に於いてすら、これだけ真剣にそれらの良さを忘れないように努力しています。況やそれらを貰った国をや。 我々こそ、強い意志を持って、この2つの人類史上最善の仕組みを、きちんと良さを再認識し、後世に伝えていく努力をしなければいけないのではないでしょうか?